2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370024
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
西村 幹夫 基礎生物学研究所, 高次細胞機構研究部門, 教授 (80093061)
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Keywords | ペルオキシソーム / ペルオキシソーム形成因子 / Pex1-Pex6複合体 / 植物生殖過程 / ペルオキシソーム膜タンパク質38 / ペルオキシソーム形態不全変異株 / ミトコンドリアキャリーファミリー |
Research Abstract |
ペルオキシソーム形態不全変異株の解析からペルオキシソームのタンパク質輸送に関与する新たなペルオキシソーム形成因子apm9を同定した。APM9はペルオキシソーム膜に局在し、他のペルオキシソーム形成因子のPex6と結合することにより、Pex1-Pex6複合体をペルオキシソームにつなぎとめる役割を果たしていることが判明した。この遺伝子の欠損は致死となり、植物の生育に必須な機能を担っている。Apm9は同様な働きをするタンパク質である動物のPex26や酵母のPex15pとはアミノ酸配列における相同性が低く、植物特異的なペルオキシソーム形成因子であることが判明した。このapm9の抑制変異株の解析から、apm9遺伝子は植物の生殖過程に大きな影響を与えることが判明し、植物生殖過程におけるペルオキシソームの新たな役割が類推されている。現在、その機能解析研究に従事している。 ペルオキシソーム形態不全変異株の中からペルオキシソームが巨大化するapm3の解析を行い、その原因遺伝子はペルオキシソーム膜タンパク質38であることを明らかにした。私達は既にペルオキシソームの分裂欠損変異株apm1を同定しており、変異株のペルオキシソームは分裂できず細長い管状の形態を示す。今回得られたapm3とapm1とかけあわせしたapm1,3二重変異株は、ほとんどのペルオキシソームが巨大化してapm3の表現型を示したことから、APM3はペルオキシソームの分裂に先立つ過程で機能していることが推測された。 apm3はミトコンドリアキャリーファミリーのタンパク質に属しており、代謝物の輸送に関与している可能性があるが、ATP,ADP等ではその輸送活性は証明されなかった。apm3及びapm1,3二重変異株の表現型の詳細を解析しており、ペルオキシソームの増殖と表現型の関連を調べている。
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