2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規な食欲亢進異常突然変異を利用した食欲調節ネットワークの解明
Project/Area Number |
20370029
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
尾崎 まみこ Kobe University, 理学研究科, 教授 (00314302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 敏行 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 准教授 (90202150)
伊藤 雅信 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60221082)
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Keywords | ショウジョウバエ / 食欲 / 摂食異常 / 味覚 / 糖受容 / 電気生理 / 代謝異常 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
食環境への適応と、摂食調節は、生物の生命維持に必要不可欠である。食物摂取は、体内の栄養状態の影響を受けた脳による神経系内分泌系の調節の他、味覚感覚子によっても調節される。 キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いた吻伸展反射実験から、24時間絶食により対照区の物Me16G59系統(Mel6)に対し100倍もの食欲亢進を示すTaiwan G23系統(TW1)に注目した。この新規変異体に特異的な食欲調節機構を明らかにするために、絶食経験したハエの摂食行動、頭部における遺伝子発現、糖受容神経細胞の電気生理応答を解析し、比較考察した。 個体行動は脳内の遺伝子発現によっても制御される。ハエ頭部において絶食経験により発現量が変動する遺伝子をDNAマイクロアレイ法によって網羅的に俯瞰した上で、選定した遺伝子の発現をRT-PCR法で定量した。各実験区を比較した結果、絶食24時間のMe16において数種の代謝系遺伝子の発現の増加が確認された。これから、TW1は、絶食条件下で脂質代謝遺伝子(群)の発現不全が起きており、細胞の飢餓状態を回復するため異常な食物摂取行動をとると推察した。 先行実験では、TW1はMel6に対し顕著な食欲亢進を示し、調査した他の系統でもそれと同程度の食欲亢進が見られることはなかった。この特異現象の原因をさらに探求するため、一次入力の場である味覚感覚器のショ糖に対する感度変動をtip-recording法で記録した。各実験区を比較した結果、絶食24時間のTW1でショ糖に対する味覚感覚器の感度が上昇を確認した。これまで,絶食によって感覚子の感度は上昇しないように考えられてきた。しかしこのTW1では、食欲、摂取量の増大のみならず糖受容細胞の感受性も上昇していることがわかった。
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Research Products
(6 results)