2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本近海における海洋構造区分と対応した海産魚類の歴史生物地理学的研究
Project/Area Number |
20370034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中坊 徹次 Kyoto University, 総合博物館, 教授 (20164270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 嘉晃 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (30379036)
中山 耕至 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (50324661)
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Keywords | 種分化 / 海洋歴史生物地理 |
Research Abstract |
カジカ科キンカジカ属魚類の分類学的再検討を行った。その結果、従来の「キンカジカ」には形態学的・遺伝学的に分離できる2種が含まれ、分布も日本海と太平洋と分離していることがわかった。これらは対馬暖流と黒潮という海洋構造に何らかの対応をしていることが考えられた。この結果は平成21年4月に論文として印刷された。朝鮮半島南西岸に固有のガンギエイ科の1種がみつかっており、数年前に新種として記載したが、20年度に系統解析を行い新属として記載した。この論文も平成21年4月に論文として印刷された。クサウオ科コンニャクウオ属で日本海から既知種とは異なる種が得られ、日本動物分類学会等で報告し、現在論文作成中である。日本周辺からベーリング海まで生息するコンニャクウオ属サケビクニンの個体群構造について問題があり、それの形態的・遺伝的分析を進めている。サケビクニンの個体群構造は日本近海の海洋構造とも対応しているようで、分類学的再検討の必要がある。有明海および韓国西岸産のエツ類について、両個体群の関係と分化時期の推定を行った。両個体群間には現在は遺伝的交流はなく、互いに独立しており、分断の最初は最終氷期に遡る可能性が示唆された。これについては現在、論文を作成中である。
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