2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェレドキシン依存性ビリン還元酵素群による多様なビリン色素合成の分子機構の解明
Project/Area Number |
20370037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康弘 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154874)
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Keywords | ビリン色素 / X線結晶解析 / 光合成色素 / クロロフィルの分解 / 酵素反応機構 |
Research Abstract |
PcyAはヘムの代謝産物であるビリベルジンIXα(BV)をフェレドキシン依存的に還元し、光合成や光応答に利用されるテトラピロール色素フィコシアノビリンを合成する。PcyAは、まずBVのexo-ビニル基を還元した後、反応中間体である18^1,18^2-ジヒドロビリベルジン(18EtBV)のendo-ビニル基を還元する。このような部位特異的2段階反応から、PcyAでは基質の還元部位と還元順序を厳密に認識・制御する独自のメカニズムが機能している。PcyAの反応機構の構造学的基盤を明らかにするため、すでにSynechocystis sp.PCC6803由来PcyAのBV結合型やPcyA-18EtBVの結晶構造を決定していたが、今年度はこれらに加えて、化学合成した基質アナログであるビリベルジンXIIIα(BV13)を用いて、PcyA-BV13の原子分解能能で解析するとともに、基質還元に必須であるGlu76をグルタミンに置換したE76QのBV複合体の結晶構造解析とE76Qの酵素学的解析を行った。これらの結果を総合して、PcyA-BV中で特異的にGlu76のカルボキシル基とBVのexo-ビニル基が近接していることがわかった。これはOH-π結合といえ、このOH-π結合がPcyAの先行的なexo-ビニル基還元の構造要因であると考えられた。 一方、クロロフィル分解系で主要な酵素red chlorophyll catabolite reductase (RCCR)の結晶構造を決定した。注目すべきことに、RCCRはPcyAと基本的に同じフォールディングをしており、フェレドキシン依存性ビリン還元酵素ファミリーに属することを示した。さらに、RCCRの基質であるRCCとの複合体の結晶構造を決定し、反応に関与するアミノ酸残基を同定すると共に、部位特異的還元反応の機構を提唱した。
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