2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩崎 秀雄 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (00324393)
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Keywords | シアノバクテリア / 概日リズム / 明暗応答 / kai遺伝子 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
当研究は,シアノバクテリアを用いて概日時計と明暗切り替えに伴う光応答の関係を,ゲノムワイドな転写制御の観点から解明することを目的としていた。 シアノバクテリアでは,概日振動子がどのように転写リズムを駆動するかについてはまだ不明な点が多い。ゲノムワイドな発現リズムを検討したところ,連続明条件下で少なくとも全ゲノムの30%強の遺伝子産物が概日発現すること,KaiCは従来の仮説と異なり,必ずしも概日発現の抑制因子とは言えないこと,暗期中では12時間以内に総mRNA量が20%以下にまで激減することなどをまず明らかにし,PNAS誌に報告した(Ito et al.,2009)。 これらの解析から暗期中ではkai遺伝子の転写が強く抑制されることなどから,概日リズムからの転写制御が解除されると考えられた。 しかし,最近私たちはkai遺伝子の破壊により,約半数の暗誘導遺伝子の発現パターンに大きな影響が見られることを明らかにした。さらに,これらの暗誘導パターンは,どの時刻から明期から暗期に移すのかによっても顕著な違いが観られた(暗誘導の時刻依存性)。この結果は,概日時計が一部の遺伝子の暗誘導を暗条件下で制御しうることを示すだけでなく,事実上Synechococcusが日長感受的な遺伝子発現を行っていること,すなわちバクテリアでも光周的遺伝子発現誘導が起こりうることを意味する。さらに,これらの制御に関わる因子としてシグマ因子を同定することにも成功した。間もなくこの成果は論文投稿する予定である。
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Research Products
(14 results)