2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20370086
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒泉 満 Niigata University, 自然科学系, 教授 (40175360)
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Keywords | 性決定 / メダカ / 発生・分化 / 遺伝子 / 進化 |
Research Abstract |
メダカ近縁種からDMYに続く新たな性決定遺伝子を同定することにより、メダカ属魚類をモデルにして、性決定遺伝子の進化機構を探り、脊椎動物における性決定機構の共通性と多様性を統一的に理解することを目的として研究を行った。本年度の成果の概要は以下の通りである。 1.性染色体の解析が最も進んでいるルソンメダカからDMYとは異なる新たな性決定遺伝子候補を突き止めた。まず組換体の連鎖解析により性染色体上の性決定領域を190bpにまで狭めた。この領域についてXおよびY染色体の全塩基配列を決定した結果9つの遺伝子(PG1〜PG9)が予測できた。性分化時期(孵化時)における発現解析から、PG5が雄特異的に高い発現を示すことが明らかになった。そこで、PG5を含むフォスミドクローンを遺伝子導入したところ、XX雄個体が得られ、さらに、導入した遺伝子によって性が決定される遺伝子導入系統を確立した。この結果、PG5がルソンメダカ性決定遺伝子の有力候補となった。PG5が示す性分化時の雄特異的高発現はY染色体からの発現によることも明らかになり、ルソンメダカは、PG5のY特異的高発現機能の獲得によって新たな性染色体(メダカの12番染色体と相同)を獲得したことが考えられる。 2.インドメダカの性決定遺伝子を同定するため、X染色体およびY染色体の性決定領域(約150kb)の塩基配列を決定し、性決定遺伝子候補を探索中である。 3.性染色体が同定されていないメダカ近縁種の性染色体の同定を試みた。すでにメダカグループとジャワメダカグループの全8種で性決定様式と性染色体が明らかになっている。メダカグループの「ラオスメダカ(仮称)」とセレベスメダカグループのセレベスメダカについて、性ホルモン処理個体の子孫の性比の解析およびESTマーカーを用いた連鎖解析によってメダカ相同連鎖群および性決定様式の検討を開始したが、未だ同定には至っていない。
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