2009 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体STRマーカーを用いた日本国内及びその周辺のヒト集団の同定法の確立
Project/Area Number |
20370099
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 敏充 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50260592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打樋 利英子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20223571)
齋藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝学系, 教授 (30192587)
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Keywords | STR / 常染色体 / 東アジア / 集団遺伝 / 同定法 / 遺伝子プール / 遺伝的異質性 / 祖先集団 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までの間に105ローカスのSTR型が解析された日本人(秋田・名古屋・大分・沖縄)、韓国人(ソウル)、中国朝鮮族(瀋陽)、中国漢民族(北京・陜西・湖南・福建・広東)、タイ人(バンコク)、ミャンマー人(ヤンゴン)及びモンゴル人(オラーゴン・ダランザドガド)の解析結果において、比較的地理的に近いヒト集団における祖先集団の識別の可能性について検討し、ベイズ的アプローチに基づいたSTRUCTUREプログラムを利用することにより、各国別地域ヒト集団間、例えば、日本人と韓国人、日本人と中国人のような区別が確率論的に行える可能性・有用性が示唆された。その結果をブエノスアイレス(アルゼンチン)で開催された第23回国際法医遺伝学会で発表した。また、これらの区別の精度をさらに増すために、昨年度まで解析した常染色体上の105ローカスのSTR型を型判定するシステムとは別に、インビトロジェン社の連鎖解析用STRマーカーのセットから、4塩基リピートで、ヒトゲノムにほぼ均一に分布するSTRを250ローカス程度選択し、4塩基リピートの常染色体上のSTRを計250程度型判定できるマルチプレックス・システムを検討し、おおよそ型判定できる可能性が示された。一方、日本国内の地域差を調査することを目的として、昨年度、歴史的なつながりが比較的明らかなところであり、ある程度の試料収集が行える可能性が考えられた仙台市周辺地域などにおいても、足利事件における「DNA鑑定」に対する不信感がマスコミなどにより報じられると、採取に協力してもよいと考えていた人々が、「DNA」という言葉に危惧する考えを持ち、採取が難しくなるという、経験も得た。
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Research Products
(6 results)