2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20380024
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
倉本 宣 明治大学, 農学部, 教授 (60287886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
知花 武佳 東京大学, 工学部, 講師 (10372400)
岡田 久子 明治大学, 農学部, 客員研究員 (40460000)
芦澤 和也 明治大学, 農学部, 助手 (10516660)
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Keywords | 環境 / 生態学 / 進化 / 植物 / 河川 / 出水 / 再生 / 多摩川 |
Research Abstract |
上流域において、出水が河岸の岩場のユキヤナギ個体群に与える影響を明らかにするために、出水から3年経過した個体群における開花状況について調査を実施した。北向き斜面の個体群においては、開花個体の割合が前年度に比べて増加した。東北地方から四国地方の15河川のユキヤナギ個体群についてSSR多型解析を実施した。河川間では遺伝的分化が確認されたものの、同一河川内は遺伝的に固定されている場合が多かった。 中流域のカワラノギクについては、保全区の再造成に伴って、実生の出芽時期を調査した。実験室の中では20℃一定で発芽速度が最高であるので、3月下旬に出芽すると考えられるが、現実には5月下旬にも出芽がみられた。実験室における結果と野外の結果の橋渡しになる知見が必要である。 下流域のウラギクは減少が著しいので影響を与えないよう調査を見合わせた。 出水後の付着藻類の回復については、付着物の回復を調べるため、河床付着物への人工的な出水のインパクト実験を実施した。人工的に与えた出水規模に応じて付着藻類の現存量は小さくなるが、その後一定時間が経過すると、それぞれの付着藻類量は同程度まで回復した。また、河床を単位面積当たりでみた場合、出水直後の現存量は石のサイズごとに異なるが、回復するにつれて河床面で一様になることが示唆された。 土木工学からの知見は、多摩川の上流から永田地区に至るまでの河床材料サイズを調べ、その規定要因を探った。 1/40より急勾配では、ステッププールが形成されると共に礫径は河床勾配で規定された。ユキヤナギが自生しているような1/40より緩勾配かつ扇頂より上流では、洪水末期に堆積する細粒土砂が表層を覆い、礫径よりは細かかったので、河原植物は安定しにくい。一方、扇状地区間では洪水流量と河床勾配で河床材料サイズが規定されるが、カワラノギク生育地近くでは堰の影響でアーマー化しており、ヨシで覆われていた。
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Research Products
(7 results)