2009 Fiscal Year Annual Research Report
潜在性ウイルスを利用した新規RNAサイレンシング誘導ベクターの開発とその応用
Project/Area Number |
20380025
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉川 信幸 Iwate University, 農学部, 教授 (40191556)
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Keywords | ALSV / ウイルスベクター / RNAサーイレンシング / VIGS / タバコ / シロイヌナズナ / 抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
RNAサイレンシングは、非常に優れた逆遺伝学的手法として各種植物の遺伝子の機能解析に幅広く利用されている。筆者らはリンゴ小球形潜在ウイルス(ALSV)ベクターが実験植物(タバコ)でのトランスジーン(GFP遺伝子)や内在性遺伝子(Magnesium chelatase(SU)遺伝子など)のサイレンシンダを効率良く、かつ安定的に誘導し、RNAサイレンシング誘導ベクターとしても有望であることを既に明らかにし、さらにマメ科植物(ダイズ、エンドウ、アズキ、ササゲ)、ウリ科植物(キュウリ、メロン、スイカ、ズッキーニ、トウガンなど)、およびナス科植物(トマト、ジャガイモ)などの栽培植物でも効率良く、安定的に内在性遺伝子のサイレンシングを誘導するベクターであることが明らかにした。平成21年度は、ALSVベクターによるVIGS誘導系が病害抵抗性関連遺伝子の解析に利用できるかどうかを明らかにしようとした。21年度の成果は次のとおりである。 (1)TMV抵抗性遺伝子であるN遺伝子の一部をALSVベクターに連結後、N遺伝子を持つタバコ(品種キサンチnc)に接種し、N遺転子VIGSを誘導した。このタバコ植物にTMVを接種したところ、本来誘導されるべきHR反応が不完全となりTMVの封じ込めが解除され、TMVが全身感染した。すなわち、ALSVベクターによりTMV抵抗性遺伝子のサイレンシングが誘導された。タバコでのN遺伝子のVIGSは世界初である。 (2)シロイヌナズナ(C24)が持つRCY1遺伝子の一部をALSVベクターに連結し、このウイルスをシロイヌナズナ(C24)に接種した。これら植物にCMV-Yを接種したところ、本来はHR誘導によりCMV-Yは全身感染できないRCY1遺伝子をもつシロイヌナズナにおいて、CMV-Yの全身感染が確認された。これらの結果から、シロイヌナズナの抵抗性遺伝子の機能解析にALSVベクターが利用できることが明らかになった。
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