2010 Fiscal Year Annual Research Report
核多角体病ウイルス感染細胞が発動する全タンパク質合成停止の分子機構
Project/Area Number |
20380034
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池田 素子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20262892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 迪弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60111837)
|
Keywords | 核多角体病ウイルス / 全タンパク質合成停止 / カイコ培養細胞 / リボソームRNA分解 / 生体防御機構 / p143遺伝子 |
Research Abstract |
核多角体病ウイルス(NPV)が不全感染状態にある細胞では,細胞のタンパク質合成だけでなく,ウイルスタンパク質の合成も全面的に停止(全タンパク質合成停止)する.これまでの研究成果として,BM-N細胞において不全感染となるアメリカシロヒトリNPVを感染させることによって,感染初期段階で細胞のrRNAが著しく分解消失することを明らかにした.そこで,この分解機構を明らかにすることを目的として,アメリカシロヒトリMNPVのゲノムをすべて網羅するようなコスミドライブラリーをBM-N細胞に導入し,これらの細胞から抽出したRNAの電気泳動パターンを解析することによって,RNA分解を誘導するウイルス因子の探索を行ったその結果,アメリカシロヒトリNPVがコードするp143遺伝子がBM-N細胞のRNA分解を誘導することが示された.p143遺伝子は全てのNPVに保存されでいる.そこで,BM-N細胞において増殖感染となるカイニNPVと,不全感染となるAutographa californica MNPV,シロイチモジヨトウNPV,ハスモンヨトウNPVの各p143遺伝子をBM-N細胞で一過性発現させることによって,RNA分解が誘導されるかどうかを調査した.その結果,カイコNPVp143遺伝子はRNA分解を誘導しなかったが,それ以外のNPVのp143遺伝子によってRNA分解が誘導された. さらに,RNA分解の分子機構を明らかにする目的で,RNA分解に関わる,カイコ培養細胞のRNase遺伝子の探索を試みたが,同定することはできなかった.
|
Research Products
(8 results)