2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物における還元的脂肪酸・有機酸変換機能の探索と開発
Project/Area Number |
20380050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 順 Kyoto University, 微生物科学寄附研究部門, 特定教授 (70281102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
櫻谷 英治 京都大学, 農学研究科, 助教 (10362427)
岸野 重信 京都大学, 農学研究科, 助教 (40432348)
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Keywords | 還元反応 / 脂肪酸 / 有機酸 / 嫌気性細菌 / 共役化反応 / 飽和化反応 / Lactobacillus / Eubacterium |
Research Abstract |
不飽和脂肪酸飽和化反応のモデル反応として、リノール酸の共役化を経る飽和化反応を取り上げ、反応機構の詳細な解析を試みた。本年度は、Lactobacillus plantarumが触媒するリノール酸共役化過程の解析を重点的に行った。これまでに、リノール酸共役化には3種の蛋白質(CLA-HY、CLA-DH、CLA-DC)が関与していることを認めていたが、これらを発現する大腸菌を構築し、それぞれから精製したCLA-HY、CLA-DH、CLA-DC蛋白質を用いて、反応系のin vitroにおける再構築を行った。その結果、この反応系は、不飽和脂肪酸の水酸化脂肪酸への水和、水酸化脂肪酸のケト脂肪酸への酸化と引き続く二重結合の転移によるエノンの生成、さらには、それまでの反応を折り返すように進行するエノンのカルボニル基の水酸基への還元、脱水反応からなり、これら一連の反応により共役化が完結することを明らかにした。また、一つ一つの部分反応はいずれも、水酸化脂肪酸、共役脂肪酸などの機能性脂質を誘導しうる産業的にもポテンシャルの高いものであった。 脂肪酸のアルコール類、アルカン類への還元的変換反応の探索に関して、C8、C16、C18の飽和脂肪酸を基質として、それぞれの脂肪酸のカルボキシル基を還元しうる微生物を嫌気性細菌を中心に探索した。その結果、Eubacterium属、Clostridium属細菌に脂肪酸を対応するアルコールへと還元する活性を見いだした。特に高い活性を示したEubacterium limosumを用い、オクタン酸含有栄養培地を用いた培養時におけるオクタン酸変換反応を詳細に解析した結果、本還元反応が、オクタン酸のアルデヒド(オクタナール)への還元をへて進行する2段階の還元反応であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)