2010 Fiscal Year Annual Research Report
リボソーム蛋白質L10がアンチザイムとして作動する新規ポリアミン合成制御機構
Project/Area Number |
20380054
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
神尾 好是 尚絅学院大学, 環境防災工学研究所, 客員教授 (00109175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勲 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究科, 教授 (70093052)
高塚 由美子 山形大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70570810)
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Keywords | アンチザイム / リボソーム蛋白質L-10 / 外膜たんぱく質Mep45 / アンカー / ポリアミン生合成制御機構 / ペプチドグリカン結合型ポリアミン / ClpA / ClpX |
Research Abstract |
偏性嫌気性グラム陰性細菌Selenomonas ruminantiumにおいて、ペプチドグリカン(PG)共有結合型のカダベリン(Cad)が外膜蛋白質Mep45のSLH domainとの相互作用を介して、外膜-PG間接着構造に寄与するという細胞表層構造上における特異な生理機能を有する。本菌ではCadはリジン/オルニチン両触媒性の脱炭酸酵素LDC/ODCによって生成された後、PGに取り込まれて細胞表層構造上で機能する。一方、LDC/ODCはL-10を分解促進因子として作動するATP依存型proteaseにより分解される。本年度は、本proteaseの精製、並びに細胞壁結合型ポリアミンの生理機能におけるポリアミン分子の構造特異性について検証した。 (1) ATP依存性protease(ClpPおよびClpX)の精製並びにペプチダーゼ活性測定: 前年度で得られた組み換えClpPおよびClpX蛋白質を大量に精製した。今回は、ClpP精製標品(1.6mg)のペプチダーゼ活性測定した。基質としてN-succinyl-Lue-Tyr-7-amido-4-methylcoumarin(Suc-Lue-Tyr-AMC)を用い、ペプチダーゼ活性により遊離するAMCの蛍光強度を測定することでペプチダーゼ活性を評価した。その結果、sClpP精製標品が本活性を有することが確認でき、比活性は0.685pmol/h・μg of proteinと求められた。 (2) 細胞壁結合型ポリアミンの生理機能におけるポリアミン分子の構造特異性: DL-α-difluoromethylornithine(DFMO)を用いて本菌のLDC/ODCを阻害しつつ、構造の異なる他のポリアミン種(NH_2(CH_2)nNH_2,n=3-6)を培地に添加してPGに取り込ませた。各種PGそれぞれに対してMep45のSLH domainとの結合解析を行ったところ、Cad(n=5)結合型PGに特異的に強く結合した。また、Cad以外のポリアミン(n=3,4,6)結合型PGを保持する細胞では、外膜のPGからの剥離、および細胞の薬剤耐性の低下が見出された。よって本菌の外膜-PG間接着構造はPGとSLH domain間の結合の強弱に依存すると推察され、その中でCadは両者の相互作用の促進機能を担うと結論付けた。
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Research Products
(7 results)