2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20380056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 淳夫 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (90186312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 正幸 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00344490)
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Keywords | 糖転移 / 構造因子 / 分子解析 |
Research Abstract |
糖質酵素が触媒する糖転移作用を制御できる新しい現象を3つ見出した。すなわち、1)長鎖オリゴ糖を生産する新規な転移酵素、2)触媒水の結合部位、3)受容体の結合部位、である。本研究の目的は、これらの現象を解析し、転移作用の分子機構を知り、応用研究に結びつけることにある。具体的には、i)それぞれの現象から「糖転移を支配する構造因子(蛋白質の部分構造)」の決定 ; ii)その機能の機構究明 ; iii)構造因子を他の酵素に移植 ; iv)有用な機能の利用、である。糖転移反応の改良・開発は要求が強いため、応用研究への発展を図る。計画は順調に進行しており、次の研究成果を得た。 長鎖オリゴ糖の生産酵素 : 1)酵素遺伝子発現と結晶化 : 酵素遺伝子を大腸菌の系で発現・酵素精製に成功した。結晶化条件を調査中である。2)拮抗阻害剤の探索 : 「阻害剤-酵素複合体」の結晶調製のため拮抗阻害剤を探索し、トリスが候補となった。3)自殺基質による触媒残基推定 : 「基質-触媒残基置換酵素」の結晶作製に必要な触媒残基の推定を自殺基質法で調べた。コンズリトールBエポキシドを酵素に作用させたところ、自殺基質の様式で失活した。本化合物が結合したアミノ酸を決定中である。触媒水の結合部位 : 4)結合部位を構築するアミノ酸 : デキストラン-グルコシダーゼ(DDase)の触媒水サイトを構築するアミノ酸に変異を導入した。変異酵素の加水分解力は低下したが、転移能力は向上した。受容体の結合部位 : 5)結合部位の改変(基質切断点の近傍) : DDaseの基質切断点近傍にある受容体結合部位に対し、立体構造情報から置換アミノ酸の候補を決め、置換酵素を作製した。予想どおり親酵素(α-1, 6結合生成能が高い)と異なる転移特異性を示した。加水分解のグルコシド結合認識も変化した。6)結合部位の改変(基質切断点の遠位) : DDaseの立体構造から受容体結合部位の遠位に位置する残基に変異を与え、転移作用を調べた。特異性は変化しなかったが、5)にある近傍への変異との組み合わせで明瞭な効果が発揮されると考えられるので、現在検討中である。
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