2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンの膜輸送と濃度調節に関する分子システムの解明
Project/Area Number |
20380060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前島 正義 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80181577)
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Keywords | 亜鉛 / 亜鉛輸送体 / 液胞膜 / 細胞膜 / 植物 / カルシウム結合タンパク質 |
Research Abstract |
植物細胞において液胞が担う金属イオンの集積機能に焦点を当てる。生育に必須なCa、Mn、Mg、Znなどは過剰分を液胞に蓄積し,必要な時に細胞質に供給する機構を備えている。本研究では液胞膜Zn^<2+>/H^+対向輸送体(Zn輸送体、MTP1)とプロトンポンプに(H^+-ピロホスファターゼ、V-PPaseと略す)に焦点を当てた。とくにZn^<2+>/H^+対向輸送体における亜鉛輸送能、イオンの選択とイオン濃度センサー機能を支えるアミノ酸残基の特定を進め、N端領域とHisリッチ領域、一部の膜ドメインの残基が重要であることを生化学的に明らかにした。また、MTP1遺伝子欠失植物株において、亜鉛蓄積量が著しく減少し、他の金属元素の蓄積量にも大きな変化をもたらすことを見出し、論文として発表した。プロトンポンプV-PPaseについては、数千の変異型酵素の中から高機能型酵素を見出した。この変異V-PPaseでは、加水分解活性に対するプロトン輸送活性が2倍以上に増大しており、H^+/PPi比が上昇したものと推定された。また、V-PPaseの細胞内局在動態を詳細に解析するために、GFPとの融合タンパク質を組入れた組換え植物も作出した。さらに、金属イオンホメオスタシスにも関わると推定される新規金属結合タンパク質(PCaP)を2種見出した。いずれも、細胞質カルシウム濃度が上昇するとCa/カルモジュリン複合体が形成され、この複合体がPCaPと結合し、それが契機となり、ホスファチジルイノシトールリン酸シグナルに変換する可能性を示唆する知見を得て、学会での発表ならびに論文として発表した。
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