2010 Fiscal Year Annual Research Report
アロサミジン分子を基盤としたケミカルバイオロジーの新展開
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20380066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作田 庄平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (80192087)
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Keywords | アロサミジン / キチナーゼ / 喘息 / 二次代謝 / キチナーゼ様タンパク質 / 放線菌 / 生合成 |
Research Abstract |
アロサミジン(allo)は放線菌の生産するキチナーゼ阻害物質であるが、哺乳類に対する抗喘息作用、放線菌に対するキチナーゼ生産促進作用を有する。抗喘息作用ではデメチルアロサミジン(dma)が、alloより強力な抗喘息作用を示す。allo類の抗喘息作用のターゲット分子の解明は、抗喘息薬開発のための新たなターゲットを提供する上で重要である。本研究では、アロサミジン分子の作用機構を解明することを目的とする。 アロサミジン類のマウスでの抗喘息作用のターゲット分子はキチナーゼ(酸性キチナーゼ、キトトリオシダーゼ)とキチナーゼ様タンパク質(Ym1、Ym2、BRP39)が考えられ、昨年度までに喘息モデルマウスの肺では酸性キチナーゼ、Ym1、Ym2およびBRP39をコードする遺伝子の劃mRNA量が増加しており、タンパク質の発現量として最も多いのはYm1であることを示した。dmaとalloの抗喘息作用の違いはこれらタンパク質との相互作用の違いによる可能性が高いと考えられる。そこで本年度は、酸性キチナーゼ、Ym1、Ym2およびBRP39とアロサミジン類の相互作用解析を行うためにそれら組換え体タンパク質の大腸菌での発現系を構築した。N末端にHisタグを付した組換え体Ym1はフォトアフィニティープロープを用いた実験でアロサミジン類との結合が示されたが高濃度で不溶化しITCでの解析が困難であった。そこでGSTとの融合タンパク質としてそれぞれのタンパク質の組換え体を作製した。現在それら組換え体タンパク質を用いて相互解析を行っている。一方、alloによって生産誘導されるキチナーゼ遺伝子はallo生合成遺伝子の近隣にコードされることが予想されallo生合成遺伝子の取得を試みた。生合成酵素の一つをコードすると考えられたDNA断片を基に生合成遺伝子クラスターと推定できる遺伝子を得ることができた。
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