2010 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンKの生体内変換機構および変換の生理的意義に関する研究
Project/Area Number |
20380071
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40206280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒井 三千夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80143022)
後藤 知子 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (00342783)
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Keywords | 栄養学 / 食品 / 発現調節 / 動物 / ビタミンK / 生体内変換 |
Research Abstract |
高等動物の組織内で変換・生成されるビタミンK(メナキノン-4、以下MK-4)の変換機構と生理的意義の解明を最終目的として、前年度までの研究で明らかになったMK-4の新しい作用(抗炎症効果、ステロイド産生調節)とビタミンK3からMK-4への変換の分子機構について解析を行った。NFκBの活性化経路上のIKK複合体形成に及ぼすMK-4の影響をヒト単球由来THP-1細胞を用いて、免疫共沈降法で解析した。その結果、MK-4はIKK複合体形成に影響を与えなかった。このことから、MK-4はIKKγのK63ユビキチン化を阻害し、上流キナーゼであるTAK1複合体との相互作用を減少させている可能性が示唆された。MK-4の側鎖構造体であるゲラニルゲラニオール(GGOH)をラットに給餌し、テストステロン産生に及ぼす影響を解析したところ、血漿テストステロン値の上昇が観察された。また、精巣ライディッヒ細胞由来I-10細胞をGGOH処理した場合、培地中へのテストステロン分泌量が上昇した。以上のことから、MK-4で見られたテストステロン産生上昇には、MK-4のもつゲラニルゲラニル基の関与が示唆された。肝癌由来HepG2細胞を用いたビタミンK3からMK-4へのin vitro変換反応系を構築した。この変換系において、MK-4の変換・生成量は、ビタミンK3濃度やインキュベーション時間の増加に従って上昇した。また、側鎖の基質として内在性のゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)が使用されると推定されたことから、スタチンによりGGPP生成を阻害したところ、HK-4生成が減少した。また、タンパク質プレニルトランスフェラーゼの阻害剤で処理した場合、MK-4生成量が増加した。さらに、昨年同定された、この変換に関わるUBIADをsiRNAでノックダウンさせた場合、MK-4生成量が低下した。以上のことから、HepG2細胞においてビタミンK3からMK-4変換には、UBIAD1が関与し、側鎖の基質として、GGPPが使用されることが示唆された。
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