2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20380072
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
駒井 三千夫 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (80143022)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40206280)
後藤 知子 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (00342783)
|
Keywords | 摂食調節 / 食餌亜鉛 / 食欲調節ペプチド / 中枢制御機構 / 亜鉛シグナル / Neuropeptide Y / 消化管迷走神経切除 |
Research Abstract |
亜鉛欠乏食を与えた後の変化で最初に観察されるのは、食塩嗜好の増大のほかに食欲低下である。摂食量の低下は亜鉛欠乏食給餌の3日目に現れ、その後上昇と低下が繰り返す、いわゆるサイクリックパターンを示すことが知られている。後者の発現機構はまだ明らかになっていないが、3日目の摂食量の急激な低下(食欲低下)については、平成20年度の検討により、3日間の亜鉛欠乏食飼育により摂食量が激減することを確認するとともに、食欲調節に重要な視床下部摂食調節ペプチドのmRNA発現量が変動することを見出した(摂食促進ペプチド発現が低下、摂食抑制ペプチド発現が上昇)。 さらに、亜鉛欠乏食給餌ラット3日目の時点での亜鉛投与による摂食量回復の作用機構に着目した結果、亜鉛(塩化亜鉛溶液)経口投与の1時間後より摂食量の有意な増加が認められた。しかし、亜鉛の腹腔内投与の場合にはこの増加は認められなかった。また、亜鉛の経口投与によって視床下部のNPY、オレキシンなどの摂食促進ペプチドmRNA発現量の増大と、摂食抑制ペプチドmRNA発現量(POMC)の低下が認められた。さらに、消化器臓器から脳への内臓神経(迷走神経)切断ラットでは、亜鉛経口投与による摂食量の増加が認められなかった。以上の結果から、亜鉛の経合投与により消化管から脳(中枢)に亜鉛による摂食促進シグナルが伝達されているものと推察された。 以上のことから、亜鉛欠乏食給餌ラットにおける摂食量の回復過程には、腸管からの亜鉛吸収、迷走神経による消化器から脳への情報伝達、視床下部における摂食促進系ペプチド(NPY、オレキシンなど)発現の活性化、などが関与しているものと推察された。
|