2009 Fiscal Year Annual Research Report
食物繊維としてのレジスタントスターチ4:栄養・生理機能の評価と作用機構
Project/Area Number |
20380077
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
海老原 清 Ehime University, 農学部, 教授 (90036492)
|
Keywords | 加工デンプン / 耐糖能 / 消化性 / エネギー値 / 発酵性 / インクレチン / 消化管ホルモン / 消化管免疫 |
Research Abstract |
1) エネルギー代謝:レジスタントスターチ4(加工デンプン)の食品への利用にあたっては、エネルギー評価は欠かせない。架橋デンプンを摂取させたヒトにおける実験で、呼気中に水素ガスが出てこないことにより、架橋デンプンは大腸で発酵されないことを明らかにし、架橋デンプンは発酵により生じるエネルギー量はゼロであり、架橋デンプンのエネルギー量評価は小腸での消化性だけで評価できることを明らかにした。ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンについては、排泄物中のヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの定量法を確立することにより、エネルギー評価を行った。ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの不消化部分は、全く小腸内で消化および吸収されなかった。エネルギー評価への道筋が明らかにできた。 2) 糖代謝:糖尿病治療食への応用に際しては、耐糖能評価は欠かせない。架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプンが、実験動物だけではなく、ヒトにおいても耐糖性効果を示すことを明らかにした。また、ヒドロキシプロピル化デンプンの耐糖性効果の作用機序を明らかにするために、消化管の運動、インスリン分泌と関連の深い消化管ホルモンについて血中濃度および各消化管部位におけるmRNA発現量を測定した。ヒドロキシプロピル化デンプンの耐糖性効果は、特にCCKと関わりの深いことを明らかにした。加工デンプンの消化性は耐糖性試験によるIAUCの測定により評価できることを明らかにした。高脂肪飼料摂取時にもヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンは糖尿病発症遅延効果を示すことがKKAyマウスを用いた実験で示された。糖尿病治療応用のための基礎的知見の蓄積ができ、応用への可能性が明らかになった。 3) 消化管機能:消化管免疫、特にIgAの分泌に関して、水溶性のものについては粘度、非水溶性のものについては添加量とに関連性の深いことが示唆された。
|
Research Products
(7 results)