2010 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動が東南アジア熱帯雨林・季節林生態系の水循環に与えるインパクト
Project/Area Number |
20380090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊谷 朝臣 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50304770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 恭一 九州大学, 農学研究院, 教授 (80183763)
溝上 展也 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00274522)
市栄 智明 高知大学, 農学部, 准教授 (80403872)
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Keywords | マレーシア / カンボジア / 熱帯雨林 / 熱帯季節林 / 蒸発散 / 樹液流計測 / 土地利用 / 気候変動 |
Research Abstract |
1.熱帯雨林サイト:マレーシア・ランビル国立公園における活動結果 これまで通りの一般気象観測項目(降水量、温湿度、放射収支、風向・風速、土壌水分)のデータを取得した。乱流変動法によるフラックス観測システムを完成させ、長期観測体制を確立した。過去2年間の降雨遮断・強制乾燥装置によるデータの解析により、ランビル国立公園の代表的樹種であるD.Aromatica、S.Becarianaはともに、乾燥条件に対し、水利用の節約を行わないことが明らかになった。特に、D.Aromaticaは極端に乾燥に対する気孔の反応が鈍く、気候変動に伴う乾燥化により枯死といった強烈な影響を受ける可能性が示唆された。林冠クレーンを利用し、対象木の個葉レベルの光合成・蒸散特性計測、林冠構造解析、水ポテンシャル計測、葉のサンプリングを行った。サンプリングされた葉・枝から化学・同位体分析により、窒素利用効率・水利用効率・吸水深度を調べた。これらは、これからさらに続く関連研究のベースラインデータとして極めて重要である。 2.熱帯季節林サイト:カンボジア・カンポンチュナム試験地における活動結果 樹液流計測による個体スケールの生理生態学的計測に加え、個葉レベルの精密な計測により、4樹種(郷土種2樹種、外来種2樹種)の水を介した共存・競争プロセスの検討を行った。カンボジアは乾季と雨季の違いが世界で最もはっきりと現れる場所であり、樹木の乾季における水利用様式に注目していたが、今回、郷土種の乾燥に対する気孔開閉の感度は世界で例を見ないほどの強烈な鋭敏さが観測され、郷土種の強い乾季中の生存戦略が示唆された。
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Research Products
(5 results)