2011 Fiscal Year Annual Research Report
代謝ネットワーク制御に基づくバイオ燃料化に適した木質の分子育種
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20380102
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅澤 俊明 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80151926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 武文 徳島大学, 大学院・ソシオ・アンド・アーツサイエンス研究部, 准教授 (60212148)
鈴木 史郎 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70437268)
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Keywords | 遺伝子共発現 / MYB / 転写因子 / イネ / セルロース / ヘミセルロース / リグニン / ポプラ |
Research Abstract |
今年度は、これまでのシロイヌナズナを用いた木質形成統御遺伝子の機能解析研究を実用植物(イネとポプラ)に展開し、実用形質転換植物の生産する木質の酵素糖化効率を評価する研究を開始した。イネについては、木質成分合成酵素遺伝子の発現パターンと相関の高い転写因子遺伝子をデータベース検索により選抜し、選抜された転写因子遺伝子の発現解析および機能解析と、発現を制御した形質転換体の栽培実験を行った。具体的には、リグニン合成酵素遺伝子であるCOMTや4CL、セルロース合成酵素遺伝子であるCesA、キシラン合成酵素遺伝子であるGT43Bなどの細胞壁合成酵素遺伝子の発現パターンと相関の高い転写因子遺伝子をデータベース上で調べ、醗B転写因子遺伝子が多く含まれていることを見出した。そこで、これらの蝦B転写因子遺伝子の転写活性化能について、イネ培養細胞への一過的形質転換を用いたデュアルルシフェラーゼアッセイによって調べ、4種類の転写因子遺伝子のうち、2種類は転写活性化能が高く、2種類は転写活性化能が低いことを明らかにした。また、転写活性化能の低い2種類の転写因子は、皮層繊維が急速に発達する出穂期の稗で特異的に発現していることを見出した。4種類の転写因子が各々活性化する下流遺伝子を明らかにするため、COMT、CesA、GT43BなどのプロモーターをPCRによってクローニングし、デュアルルシフェラーゼ用コンストラクトの作成を進めるとともに、以前作出したこれらの転写因子の過剰発現体の栽培を開始した。ポプラについては、一昨年度に本研究課題で作出した、転写因子過剰発現および発現抑制形質転換体を組換え温室で1年間栽培し、幹の木材の部分を収穫後粉末化し、木質成分と酵素糖化効率を調べるためのサンプルを調製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、本研究課題の研究対象として、シロイヌナズナおよびポプラを予定していたが、バイオマス生産用としての大型イネ科植物の重要性に鑑み、途中から代表的なイネ科植物のモデルで実用植物でもあるイネをも研究対象に含め、研究を進めてきたが、特に問題なく研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、一過性形質転換系を利用したデュアルルシフェラーゼアッセイを行うことで、転写因子が木質成分(リグニン、セルロース、ヘミセルロース)の合成酵素遺伝子の転写を活性化し得るのかどうかを調べる。また、転写因子を過剰発現または発現抑制させた実用植物(ポプラおよびイネ)の形質転換体における、木質成分の合成酵素遺伝子の発現解析を行い、どのような木質成分の合成酵素遺伝子の発現が変化しているのかを調べるとともに、光学顕微鏡を用いて、形質転換体の組織観察も行う。さらに、形質転換実用植物より調製された細胞壁サンプルの木質成分分析と酵素糖化効率を求め、形質転換実用植物により生産された木質バイオマスのバイオ燃料化に対する適性を評価する。
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Research Products
(6 results)