2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性カロテノイドの抗炎症作用をターゲットとした生活習慣病予防機能の解明
Project/Area Number |
20380117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細川 雅史 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (10241374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 由美子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90434472)
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Keywords | カロテノイド / 抗炎症 / サイトカイン / マクロファージ / 大腸 / 脂肪細胞 / 炎症性腸疾患 |
Research Abstract |
本研究は、海洋性カロテノイドの新規機能性として抗炎症作用に着目し、それに基づく生活習慣病予防効果の解明を目的とする。本年度は、抗炎症作用を示すカロテノイドの探索と潰瘍性大腸炎及び大腸発がんに対する予防効果を調べた。 1. 抗炎症性カロテノイドの探索 (1) アスタキサンチンは、LPSにより炎症を惹起させたマクロファージ様細胞RAW264.7より産生される炎症性サイトカインのIL-6及びIL-1βを抑制した。 (2) これまでマボヤ中に見出したアロキサンチン、ディアトキサンチンに加え、ホタテ卵巣に含まれるペクテノロンが、LPSで刺激したRAW264.7のIL-6及びIL-1β産生を抑制することを見出した。これらのカロテノイドは、COX-2のmRNA発現も抑制した。 (3) アロキサンチンとディアトキサンチンは、TNF-αで誘導される大腸癌HT-29細胞のIL-1βmRNA発現を抑制した。 以上より、海洋生物に特徴的なアスタキサンチン、アロキサンチン、ディアトキサンチン、ペクテノロンの抗炎症作用が示唆された。 2. アスタキサンチンによる潰瘍性大腸炎及び大腸がん抑制能 (1) ICRマウスに予め4週間アスタキサンチン含有飼料を与えた後、1.5%DSSを飲水投与し、潰瘍性大腸炎の発症への影響を調べた。その結果、アスタキサンチン200ppm群では炎症スコアーがコントロール群と比較して低い値であり予防効果が示された。更に、IL-6、IL-1βのmRNA発現量に低下傾向がみられたことから、アスタキサンチンの抗炎症作用を介した予防効果が示唆された。 (2) ICRマウスにAOMを腹腔内単回投与し、1週間の休薬後、1.5%DSSを1週間飲水投与することで炎症を背景とする大腸がんを誘発し、アスタキサンチンをDSS投与終了1週後より17週間混餌投与した。その結果、アスタキサンチン200ppm群において大腸の腺がんと異型陰窩の発生頻度に低下がみられた。更に、腫瘍組織部におけるPCNAの低下とアポトーシス細胞の増加がみられたことから、炎症後の大腸発がんに対するアスタキサンチンの予防効果が明らかとなった。
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Research Products
(5 results)