Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駄田井 久 岡山大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (60346450)
松下 秀介 筑波大学, 生命環境学研究科, 准教授 (50355468)
藤本 高志 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (40340583)
千田 雅之 独立政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合センター, 上席研究員 (80370493)
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Research Abstract |
本年度は,1) 放牧がもたらす地域経済への波及効果の計測,2) 農地の効率的な利用による周年放牧技術の評価,3) 畜産廃棄物の有効利用による新たな市場設立可能性の検討,4) 海外の事例調査による地域資源利用状況の把握を行った。 1) 放牧による地域経済波及効果の計測 島根県隠岐郡島前地域を事例とし,肉用繁殖牛の放牧が地域経済に及ぼす影響を,地域産業連関分析により明らかにした。結果は以下のとおりであった。肉用牛繁殖の産出乗数は非常に低く,肉用子牛の付加的生産は他の地域内産業の産出にほとんど影響しない。しかし,肉用繁殖牛の産出をゼロにまで減少させることの影響を分析すれば,肉用繁殖が地域経済の維持に少なからぬ影響を持つことがわかった。 2) 農地の効率的な利用による周年放牧技術の評価 牧草と飼料イネ,稲発酵粗飼料を生産し,50a/1頭の水田で繁殖和牛を周年放牧できるモデルを開発し,17.5haの水田で周年35頭前後の繁殖和牛を放牧飼養できることを営農現場で実証した。また,営農現場で得た技術係数をもとに営農計画モデルを構築し,上記のモデル適用による肉用牛繁殖経営の規模拡大や省力化,飼料自給率向上,遊休農地解消などの効果を定量的に明らかにした。 3) 畜産廃棄物の有効利用による市場設立可能性の検討 岡山県笠岡湾干拓地を対象として,堆肥市場設立の可能性を検討した。まず,干拓地内・干拓地周辺地域の耕種農家における堆肥需要の分析を行った。その後,堆肥販売促進の為に必要となる付加サービスの条件(低価格販売,袋詰め・輸送・散布サービス)を明らかにした。 4) 海外の事例調査による地域資源利用状況の把握 内モンゴルにおける地域資源の利用状況を整理するため,産業別の活動状況を元に,経済地帯区分を試みた。当地域における伝統的な牧畜業の衰退と農業生産活動の拡大の傾向について,空間的に整理した。
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