2008 Fiscal Year Annual Research Report
食料農業資源環境に内在するリスクとその管理に関する学際的国際共同研究
Project/Area Number |
20380126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南石 晃明 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 教授 (40355467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木南 章 東京大学, 農学生命研究科, 教授 (00186305)
吉田 泰治 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80158451)
福田 晋 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40183925)
矢部 光保 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20356299)
前田 幸嗣 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (20274524)
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Keywords | リスク認知 / リスクマネジメント / 情報通信技術 / 危害要因 / 食の安全確保 / 食リスク / 環境リスク / 農業リスク |
Research Abstract |
食料・農業・資源・環境分野を対象とした「食農資環リスク学」という新たな研究分野の研究枠組みを検討すると共に、国際的視点から食料・農業・資源・環境に関わる多様なリスクに関する現地調査およびデータ解析を実施した。以下では、「食農資環リスク学」における基本的視点と消費者意識調査結果の概要を述べる。安全な食料を持続的に供給できる次世代フードシステムは、「環食不二」(筆者の造語)という理念に基づいてデザインすることが望まれる。つまり、農畜水産物の生育環境から始まり、生産、加工、流通,食事,食物の摂取・代謝,そして残渣・廃棄物処理までの全過程をフードシステムとして認識することが重要である。食の安全とリスクは表裏一体であり、フードシステム全体で食の安全性を向上させるためには、食にまつわる多様なリスクについて研究する必要がある。このようなリスクは、食品そのものだけでなく、その生産を行う農業生産活動、その基盤となる耕地、土壌、水などの資源や環境にも潜んでいる。そこで、本研究では、これらの多様なリスクを「知る」、「下げる」、「備える」という3つの視点から総合的に研究することを提案している。リスクを「知る」という視点からは、多様なステークホルダー(消費者や農業者等)のリスク認知構造の解明が重要である。例えば日中両国における意識調査においては、重金属、細菌、食品添加物などの食品(米及び野菜)危害要因の中で、「農薬残留」が最大の危害要因として認知されており、また、生産段階および食品加工段階が食品の安全性が損なわれる場所として認識されていることが明らかになった。さらに、リスク低減においては、農業生産,食品加工,食料流通段階において作業者の判断支援、違法・不適切な行為の警告、作業履歴記録が不可欠であり、情報通信技術が重要な役割を果たすことを明らかにした。
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Research Products
(30 results)