2009 Fiscal Year Annual Research Report
企業的農業経営体における事業構造戦略のビジネスモデル化と成立要因
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20380129
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
仁平 恒夫 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター・北海道農業経営研究チーム, チーム長 (60442787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金岡 正樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・異業種連携研究チーム, 上席研究員 (50355260)
久保田 哲史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・北海道農業経営研究チーム, 上席研究員 (80355669)
森嶋 輝也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・北海道農業経営研究チーム, 主任研究員 (30391486)
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Keywords | 企業的農業経営体 / 費用・収益構造 / 作業効率化 / 経営内部組織構造 / 職務満足度分析 / バリューチェーン |
Research Abstract |
水稲、畑作露地野菜、酪農の土地利用型農業部門の代表的な企業的農業経営体を対象に、1.費用・収益構造に関するデータ収集と運営方法の把握、2.経営内部組織構造に関する職務満足分析を行い、さらにバリューチェーンに関して農外企業と資本関係を有する法人に関する分析を行った。 費用構造・収益構造と運営方法に関しては、水稲大規模経営体及びTMRセンター型酪農経営体を対象に分析し、水稲大規模経営(水稲75ha)では10a当り作業時間が15ha規模層と比べ約30%少なく、圃場区画拡大と団地化のほか、管理作業の地権者再委託等が省力化に寄与することを明らかにした。酪農のTMRセンター型経営体では、大規模化に伴う圃場~飼料貯蔵拠点の移動距離増加による運搬コスト増加を低減するための収穫・運搬作業体系をシミュレーションにより明らかにした。 経営内部組織構造に関しては、畑作の4経営体の従業員を対象に職務満足に関する配票調査を行い、従業員の不満が経済的報酬に関するものが大きい等を確認し、給与支払基盤確立のための経営体の収益向上に加え、従業員への権限委譲・経営参画促進の重要性を明らかにした。バリューチェーンに関しては、農外企業と資本関係を持つ法人のうち、建設関係企業と資本関係のある法人では販売額が限られるのに対し、食品関連企業と資本関係のある法人では事業多角化により大きな販売額を上げている等、関連会社の業種によりバリューチェーンの構築パターンが異なることを明らかにした。 これらの分析結果は、企業的農業経営体が、大規模化に伴う圃場分散と多数の雇用労働の下での作業効率化及び適正な労務管理による組織運営効率化、さらに高付加価値のためのバリューチェーン構築の上でいずれも重要であり、最終的なビジネスモデル化の重要な足がかりとなる。
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Research Products
(10 results)