2009 Fiscal Year Annual Research Report
乾期における土壌中の水蒸気態水分を利用した高度水利用作物栽培法の開発
Project/Area Number |
20380142
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
小沢 聖 Japan International Research Center for Agricultural Sciences, 熱帯・島嶼研究拠点・島嶼生産環境プロジェクト, リーダー (40360391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑形 恒男 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (90195602)
藤巻 晴行 筑波大学, 生命環境学研究科, 講師 (90323253)
一柳 錦平 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50371737)
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
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Keywords | 作物 / 水蒸気 / 地温 / 同位体比 / 東北タイ / 土壌水分移動 / 溝底栽培 / 有効利用 |
Research Abstract |
東北タイの落水水田で水盤水位の経時変化を測定した。深さ50、70cmの土壌水をサンプルし、水の同位体(δ_<18>O)比を測定した。水盤水位は日中に低下し、土壌水の同位体比は深さ50cmで0時と12時に低下し、深さ70cmでは逆に日変化した。落水水田で水盤の水位が日中に低下するのは、毛管水が浸潤する深さ70cm付近から水が水蒸気で深さ50cm以浅に移動するためといえた。根を深く発達させることにより、水蒸気態で移動した水を有効利用できるといえた。 温室内の深さ1mのライシメータを同位体比-4.81‰の水で満たした。12時から12時間ごとに3回、深さ20、30、50、70cmから土壌水をサンプルし、水の同位体比を測定した結果、同位体比は地表に近いほど高まった。 トマトを以下の処理で温室内に定植した。(1)対照(C)区:平床。(2)ボトル(B)区:水を入れた500ccのPETボトルを平床に定植した作物体に接して置いた。(3)マルチ(M)区:平床に白マルチを被覆して定植。(4)溝底(F)区:深さ10cmの溝底に定植。(5)穴底(H)区:直径7cm、深さ5cmの穴底に定植。(6)溝底ボトル(FB)区:FとBの併用。各処理の定植位置の地表面から、深さ5、10、15、20cmで地温を継続測定した。第2花房直下の側枝をサンプルし水の同位体比を測定し、収量を調査した。その結果、茎の同位体比は、M区、F区、H区、FB区で、C区、B区より低かった。収量はF区で最も高く、H区で次いで高かった。 土壌水は蒸発で分画し、地表面に近いほど同位体比が高まることから、定植位置を深めたF区、H底区、FB区で深い位置から水を多く吸収したことを示す。これがF区、H底区で収量が高まった原因のひとつといえる。平床であるM区で同位体比が低下したのは、マルチが水蒸気を集めた結果といえる。収量は、定植位置から深さ15cmの日最高地温の平均と負の相関にあった。この位置の地温は、F区、H底区、FB区で平床の3処理区に比べて日変化が極めて小さく、終日、深さ50cmの地温より低かった。このことは、溝底・穴底栽培で水蒸気態移動する水を有効利用できることを示唆する。
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Research Products
(1 results)