2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタンの革新的削減をめざしたルーメン発酵制御物質の開発
Project/Area Number |
20380146
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 泰男 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 教授 (50153648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 聡 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90431353)
永西 修 北海道大学, 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所, チーム長 (20355069)
竹中 昭雄 北海道大学, 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所, チーム長 (40155031)
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Keywords | ルーメン / メタン / プロピオン酸 / カシューナッツ殻油 / 抗菌スペクトラム / 抗菌性物質 |
Research Abstract |
新規メタン削減候補物質カシューナッツ殻油の作用機序と安全性について、微生物学的および組織細胞学的観点から解明・検証し、ウシおよびヒツジに実際に給与した場合のメタン削減効果を定量することを目的とした。 〈作用機序の解明〉 カシューナッツ殻油のルーメン菌に対する抗菌スペクトラムから、その選択性について、モネンシンと対比した。いずれも水素やギ酸を生成するルーメン菌を阻害し、プロピオン酸やコハク酸(プロピオン酸前駆体)を生成するルーメーン菌を生育阻害しなかった。また殻油投与および非投与羊からルーメン内容物を採取し、PCR/DGGE、16SrDNAライブラリー解析、Real-time PCR定量による主要菌群(種)の動態などについて精査したところ、菌叢は顕著に変化し、上記抗菌スペクトラムを反映する菌叢構成メンバーとなっていた。 〈メダン削減効果の検証〉 ヤギを用いた予備検定では、殻油投与により個体間変動は大きいが最大で27%のメタン削減が認められた。 〈安全性の評価〉 ルーメン上皮細胞培養系に殻油を加え、細胞の形態、生存性などを指標に安全性の評価をしたところ、モネンシンでは5ppmの添加濃度でやや細胞毒性が認められたのに対し、同レベルの殻油添加はまったく悪影響を及ぼさなかった。 以上の経過から、新規メタン削減物質候補であるカシューナッツ殻油のメタン低減作用機序がほぼ特定できた。さらに実際の給与時にも(培養時ほどではないが)、メタンを削減すること、少なくともルーメン上波には現時点で毒性がないことから、より精密な評価継続が期待される。
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Research Products
(6 results)