2008 Fiscal Year Annual Research Report
マレック病ウイルスの病原性進化とワクチンブレークの分子基盤の解明
Project/Area Number |
20380157
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授 (90250498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (80214162)
今内 覚 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (40396304)
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Keywords | マレック病 / マレック病ウイルス |
Research Abstract |
マレック病ウイルス(MDV)はニワトリに悪性のリンパ腫を引き起こす。マレック病は、生ワクチンにより制御されているが、近年、野外で分離されるMDVは強毒化傾向にあり、世界各地でワクチンブレイクが問題となっている。そのためMDVによるリンパ腫発症機序の解明と、新たなワクチン戦略の開発が望まれている。本年度はMDV国内分離株由来の種々のウイルス遺伝子を、病原性が既に判明しているMDV株の遺伝子と比較した。また、Meqにおいてアミノ酸配列の多型とウイルスの病原性に相関が認められるため、これらMeqにおける多型がMeqの機能に及ぼす影響も解析した。 UL49やMDV074遺伝子には病原性の変化を示すような多型は認められなかったが、国内分離株のMeqにはいくつかのアミノ酸変異が存在していた。また、既知の強毒MDVのMeqにおける多型と本研究で認められた多型は大部分が一致した。このようにMeqの多型とMDVの病原性に相関が認められたことから、MDVの病原性を規定する上で最も重要な因子はMeqであると考えられる。 MeqはJun/Fosファミリーとの相同性が高く、転写因子として知られている。そこで、Meqの多型とその転写活性化能の関係について解析した。Meqはそのアミノ酸置換に応じて様々な転写活性を示したが、特に77、80番目のアミノ酸置換によってその活性は大きく変化した。さらにMeqのアミノ酸置換に応じて認められた転写活性化能の違いにより、形質転換能も変化することが示された。 以上より、Meqにおけるアミノ酸変異が機能変化をもたらすことでMDVの病原性を規定することが示唆された。さらに、国内分離株のMeqの予想アミノ酸配列が病原性の高い株で観られるものと一致しており、国内の家禽間で強毒MDVが蔓延していることが危惧される。今後、Meqにおける多型と機能の変化を感染実験などで検討する。
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Research Products
(2 results)