2008 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン遺伝子欠損細胞の株化と種々のプリオン遺伝子導入による感受性細胞株の樹立
Project/Area Number |
20380166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野寺 節 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90012781)
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Keywords | プリオン / プリオン病 / プリオン遺伝子欠損 / プリオン遺伝子欠損マウス / マクロファージ / 不死化遺伝子 / マウス / 骨髄細胞 |
Research Abstract |
本研究では、正常プリオン蛋白質の機能の解明、またプリオン病の機構解明を目的として、プリオン遺伝子欠損マウスよりマクロファージ細胞株を作成し、その基本的機能について解明した。マクロファージ細胞は強い貪食能力を持つため、プリオン病原体に対して高感受性細胞となりうる可能性がある。まず始めに、プリオン遺伝子欠損マウスZrchI型およびRikn型の骨髄細胞をM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)を用いてマクロファージへと分化させた。その後、不死化遺伝子であるSV40LargeT遺伝子を導入し、クローニングを行った。得られた細胞株について、免疫化学分析やLatex beadsを用いた方法により、マクロファージとしての機能を保持していることが確認された。そして、PrP遺伝子欠損細胞(ZrchI型)に、マウスおよびハムスターPrP遺伝子を導入し、無血清培地でのアポトーシスに与える影響について観察した。以前、当研究室で作成した神経細胞やグリア細胞においては、再導入によりアポトーシスの抑制が認められたが、今回のマクロファージ細胞株では、マウスPrP導入細胞の一部クローンおよび、ハムスターPrP導入の全クローンにおいて、非導入細胞と比較してアポトーシス抑制が認められた。ただし、ハムスター導入細胞のほうが、より長い期間抑制された。これらの結果については、遺伝子導入部位の違い、または異種遺伝子導入による細胞内分子機構の違いが原因として考えられる。 プリオン遺伝子欠損細胞はPrpcの機能解析やプリオン病感染機構解析及び病原体分離において有用であり、今回作成したマクロファージ細胞株もそれらの研究における貢献が期待される。
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Research Products
(4 results)