2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390013
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
際田 弘志 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50120184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50325271)
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Keywords | DDS / リポソーム / ポリエチレングリコール / 抗PEG-IgM / 免疫反応 / ナノキャリア |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが明らかにした新事実、即ち"bio-inertであると考えられてきたPEGによる免疫活性化"の機構を解明し、PEGあるいはその他類似の高分子を用いた医薬品開発に寄与する情報を提示する事を主たる目的としている。マクロとミクロ(ナノ)の間で、生体反応性に臨界があることはナノトキシコロジーでは常識となっているが、PEGなどのbio-inertな高分子による修飾がなぜ生体反応性を亢進させるか明らかでない。この点を解明し、生体適合性が高く安全な独自のナノデバイスの開発を実現させるとともに、現在行われているナノ粒子を用いた多くのDDS研究の実用化や安全性の確立に寄与する情報を発信することを目指す。 当該研究期間において、PEG修飾リポソームによるB細胞活性化機構の解明をさらに推進した。PEG修飾リポソーム投与後の脾臓内において、2回目投与したPEG修飾リポソームを辺縁帯から濾胞に活発に輸送するB細胞が存在することが明らかとなり、PEG修飾リボソーム前投与により単にanti-PEG IgMが分泌されるだけではなく、免疫系がダイナミックに活性化されていることが明らかとなった。また、PEG修飾リポソームを投与後、経日的に脾臓細胞を採取し、培養系にてanti-PEG IgMの分泌を確認したところ、投与後3日目以後に強いanti-PEG IgMの分泌が確認された。この結果は、PEG修飾リポソーム投与後、数日間は脾臓内でIgMを分泌させるための何らかのイベントが進行するための時間が必要であることを示唆しており、非常に興味深い。また、培養系にてanti-PEG IgMの分泌を測定できたということは、PEGに対する免疫応答を検討する上で、複雑な反応が想定されるin vivo系からそれぞれの要因を切り出して評価することが可能なin vitro系に実験系を移行させる事ができることを示唆しており、今後より明確な情報を提示できるものと期待される。
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Research Products
(8 results)