2009 Fiscal Year Annual Research Report
逆標的化DDSを用いたアレルギー・免疫疾患治療法の開発
Project/Area Number |
20390014
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥 直人 University of Shizuoka, 薬学部, 教授 (10167322)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
清水 広介 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30423841)
|
Keywords | 逆標的化 / DDS / リポソーム / アレルギー / 免疫疾患 / ABC現象 / 花粉症 / Cryj 1 |
Research Abstract |
本研究では新たなDDSの概念として、reverse targeting DDS (RT-DDS)を提唱する。RT-DDSは、薬剤キャリアを抗原で修飾することで、生体内の抗原認識細胞にキャリアを認識させ、逆標的化によって免疫細胞に薬剤を送達するという新戦略である。これにより抗原特異的に免疫反応をコントロールできる可能性があり、有用な免疫疾患治療法として期待できる。これまでモデル抗原として卵白アルブミン(OVA)を用い、OVA修飾リポソームを用いてRT-DDSの有用性を検証した。昨年度までにRT-DDSの免疫疾患治療への応用をめざし、リポソームに内封する薬物として免疫抑制剤FK-506(タクロリムス)を用いた検討を行った。調製したOVA修飾FK506内封リボソーム(OVA-FK)をOVA感作マウスにOVA-FKを尾静脈内投与した結果、OVA-FKは脾臓に多く集積すること、およびOVA特異的IgGの産生が有意に抑制され、OVA特異的IgEの産生も抑制されることが明らかとなった。本年度はRT-DDSの評価系として、花粉症の抗原タンパク質Cryj 1を用いた鼻腔内感作により、花粉症モデルマウスを作製し、花粉症に対するRT-DDSの有効性を検討することとした。本研究では治療薬を内封したCryj 1修飾リボソームを作成する必要がある。Cryj 1のリポソーム化には、多量の精製タンパク質を要するため、まず花粉から同タンパク質の効率的な抽出法を確立した。次にCryj 1をリポソーム表面に修飾するための技術を確立した。モデル実験として、抗がん剤アドリアマイシンを内封したCryj 1修飾リボソームを用いて、花粉症モデルに投与したところ、症状を緩和する作用が予試験的に見出された。この系をさらに確立し、抗がん剤に変わる薬剤を投与することにより、花粉症が抑えられれば、画期的な研究となり、実用化に結び付くと考えている。
|
Research Products
(3 results)