2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄幹細胞から性腺系細胞の創出とその分化誘導メカニズムの解明
Project/Area Number |
20390078
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宮本 薫 福井大学, 医学部, 教授 (30125877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 哲也 福井大学, 医学部, 准教授 (90322734)
矢澤 隆志 福井大学, 医学部, 助教 (00334813)
今道 力敬 福井大学, 医学部, 特命助教 (00570194)
河邉 真也 福井大学, 医学部, 特命助教 (60579415)
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Keywords | 幹細胞 / ステロイドホルモン / SF-1 / 染色体 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究の目的は、私どもが確立した性腺系ステロイドホルモン産生細胞への分化誘導系を用いて、SF-1による分化誘導過程での細胞内クロマチン構造のダイナミックな変化を分子レベルで解明し、将来の再生医療応用への基礎的基盤を確立することである。本研究では、ステロイドホルモン産生細胞分化におけるクロマチン構造変化を、SF-1とクロマチンタンパク質複合体の単離精製・同定を通して解析し、SF-1による分化メカニズムの全容を明らかにした。具体的には、改良を加えた核タンパク質抽出法を用いて、FlagタグのついたSF-1を発現し、ステロイドホルモン産生細胞へと分化した細胞から、SF-1複合体をaffinity chromatographyにより精製した。このSF-1複合体をSDS-PAGEにより分離し、各複合体構成タンパク質をMALDI-TOF-MSにより同定した。その結果20種類以上の複合体構成タンパク質を同定した。それらの中から、cAMP刺激によりSF-1との結合が強化されることが判明した、C/EBPβに関してさらに詳細に検討を行った。C/EBPβのゲノムワイドな結合部位をChIP-on-chip assayにより解析した結果、ステロイドホルモン合成の初期に作用する関連遺伝子、StAR,CYP11A1,HSD3B2の遺伝子上流にSF-1と同時にC/EBPβが結合することが明らかとなった。さらにレポーターアッセイを用いた解析により、C/EBPβの結合に伴いこれらの遺伝子発現が、SF-1と協調的に活性化されていることが明らかとなった。この成果は、これまで不明であったcAMPを介したステロイドホルモン合成関連遺伝子群の活性化の一部が、C/EBPβによって担われていることを初めて示したものであり、ステロイドホルモン産生の新たなメカニズムの存在が明らかとなった。
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