2009 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの活性化制御におけるスカベンジャー受容体の役割と診断・治療への応用
Project/Area Number |
20390113
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
竹屋 元裕 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 教授 (90155052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂下 直実 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (90284752)
菰原 義弘 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (40449921)
藤原 章雄 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (70452886)
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Keywords | クラスAスカベンジャー受容体(CD204) / マクロファージ活性化 / オルタナティブ活性化 / 慢性炎症性疾患 / 腫傷内浸潤マクロファージ / 破骨細胞分化 / CD204欠損マウス / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
マクロファージ(Mφ)の活性化には、古典的活性化(M1経路)とオルタナティブ活性化(M2経路)が存在し、クラスAスカベンジャー受容体(CD204)は後者の活性化過程において重要な役割を果たす。昨年度の検討から、膠芽腫では悪性度の増加に伴ってオルタナティブ活性化(M2)Mφの腫瘍内浸潤が増強し、腫瘍の増殖と密接に関連することが明らかとなった。本年度は、解析疾患の範囲を広げると共に、オルタナティブ活性化に伴って発現が増強するCD204がM2Mφの機能に果たす役割について解析を加えた。まず、線維化病巣が形成される自己免疫性慢性炎症性疾患である強皮症の検討では、炎症の強度に比例してM2Mφの浸潤がみられ、その後の線維化に関与する可能性が示唆された。卵巣癌の検討では、膠芽腫と同様に悪性度に比例してM2Mφの浸潤密度が増強し、M2Mφが腫瘍増殖に対し促進的に作用する可能性が考えられた。マウスリンパ腫を用いた移植モデルの解析では、CD204欠損マウスの移植腫瘍内への浸潤マクロファージ数は野生型と同程度であったが、腫瘍増殖が有意に抑制されていた。続いてサイトカン分泌との関連を検討すると、CD204はTLR4を介したNOやIFN-γの産生を抑制することが明らかとなり、このことによって腫瘍増殖に促進的に作用している可能性が考えられた。次に、CD204と破骨細胞分化の検討では、CD204欠損マウスでは骨のリモデリングが抑制され、破骨細胞の分化過程にもCD204が関与することが明らかになった。この様な検討から、CD204は単にオルタナティブ活性化に伴って発現が増強するだけでなく、M2Mφの機能そのものにも影響を及ぼしていることが明らかとなった。次年度は、様々な病態の解析を継続すると共に、マクロファージの活性化を制御する化合物の探索を進め、Mφの活性化制御による治療法開発に発展させたい。
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Research Products
(15 results)