2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞-非心筋細胞間ギャップ結合の致死性不整脈発生における役割
Project/Area Number |
20390115
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
高松 哲郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (40154900)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 致死的心室性不整脈 / 心筋細胞 / 筋線維芽細胞 / ギャップ結合 / 興奮伝播 / スパイラル波 |
Research Abstract |
急性心筋梗塞おける死因の大部分を占ある致死性不整脈の発生機序に、肉芽組織として出現する非心筋細胞(特に筋線維芽細胞)が大きく関与していることを証明し、致死的心室性不整脈発生の解剖学的基質を明らかにすることを目的とした。 A. ラット心筋梗塞境界部における筋細胞-筋線維芽細胞間のギャップ結合機能の解析 心筋梗塞5日目の梗塞境界部における心筋細胞-筋線維芽細胞間の機能的結合を明らかにするため、色素注入法による実験を行った。ラット左冠動脈を結紮し5日目の梗塞心を摘出し、梗塞境界部より充分離れた健常心筋組織を切開し、同部にneurobiotinを滴下し、その細胞間移行を調べたところ、neurobiotinはギャップ結合を介して心筋細胞から筋線維芽細胞へ移行することが判った。 B. 共培養モデルを用いた心筋・筋線維芽細胞間ギャップ結合による興奮伝播の解析 心筋細胞・線維芽細胞の共培養で興奮伝導の低下が知られていることから、両細胞間のギャップ結合コミュニケーション(以下GJC)が心筋の興奮・伝導性を変化させる可能性がある。しかし、両細胞間のGJC自体が心筋組織の興奮伝導に影響するか否かは不明である。そこで、多数の孔(8μm)を有するフィルター膜の表裏に、各々生後2日のラットより得た心筋細胞-心筋細胞または心筋細胞-線維芽細胞を培養することにより、両細胞が混在することなく両細胞層が接する共培養モデルを構築し、培養5日後に心筋組織の興奮伝導様式をCa^<2+>蛍光により解析した。GJCはCalcein色素の細胞間移行により解析した。心筋・線維芽細胞培養系での伝導速度は心筋・心筋細胞培養系に比し有意に低かった。Calceinは、心筋・心筋培養系と心筋・線維芽細胞培養系のいずれでも細胞間移行した。 以上、心筋細胞は線維芽細胞とGJCを介して興奮伝導を抑制し、不整脈の発生基盤を形成する可能性が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)