2009 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体刺激樹状細胞からのI型インターフェロン産生制御機構の解明
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20390146
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
改正 恒康 The Institute of Physical and Chemical Research, 生体防御研究チーム, チームリーダー (60224325)
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Keywords | 樹状細胞 / Toll様受容体 / 免疫アジュバント / I型インターフェロン / 樹状細胞サブセット / セリンスレオニンキナーゼ |
Research Abstract |
樹状細胞は、免疫アジュバントに対してサブセット特異的な免疫応答を示す。形質細胞様樹状細胞(pDC)は、TLR7/9を介して核酸を認識し、大量のI型IFN(IFN-α、IFN-β)を産生する。PDC以外の樹状細胞、通常樹状細胞(cDC)は、TLR7/9刺激に対して、IFN-βを産生するが、IFN-αは産生しない。このcDCにおけるIFN-β産生誘導はpDCとは異なる分子機構で制御されている。我々は、pDCにおいて、セリンスレオニンキナーゼIKKαが転写因子IRF-7をリン酸化して制御することにより、I型IFN産生誘導に関与していることを明らかにした。さらに、今回、TLR7/9刺激cDCにおけるIFN-β産生誘導にも、IKKαが必須であることを見出した。興味あることに、これまでpDCにおけるI型IFN産生に必須であるとされている機能分子セリンスレオニンキナーゼIRAK-1,アダプター分子TRAF3,Osteopontinは、cDCにおけるI型IFN産生には必須ではなかった。このことから、IKKαは、pDC,cDC両サブセットにおいてTLR7/9シグナルによるI型IFN産生を制御するユニークな分子であることが明らかとなった。さらに、pDCと同様、IKKαはI型IFN産生に特異的に関与していて、炎症性サイトカイン産生には必須ではなかった。しかし、pDCと異なり、IRF-7の活性化ではなく、IRF-1,NF-κBの活性化に関与していた。また、IKKαは、IRF-1と結合し、IRF-1をリン酸化することも確認された。このように、IKKαは、樹状細胞サブセット特異的な機構を介して、TLR7/9刺激によるI型IFN産生を制御していることが明らかになった。今後、種々の樹状細胞サブセット特異的に発現する機能分子の解析を進めて、樹状細胞サブセット特有の応答機構の解明を進めていく。
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