2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390162
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
池田 和隆 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員(分子精神医学研究ディレクター) (60281656)
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Keywords | 薬剤反応性 / ゲノム / 薬理学 / 脳神経疾患 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
本研究では、麻薬性鎮痛薬感受性個人差の遺伝子メカニズムの解明を目的としている。平成22年度は、3年計画の最終年として、下顎骨切り術サンプルの収集を進めるとともに、多型判定、鎮痛薬感受性との関連解析を行った。サンプル収集では、合計350症例の下顎骨切り術の検体(臨床データおよびゲノムDNAのセット)を収集した。多型判定では、下顎骨切り症例350例に関して、イルミナ社製のゲノムワイド遺伝子多型解析を行った。膨大なデータであるためゲノムワイドの統計学的な解析は全ては終了していないが、一部の候補遺伝子多型に関しては関連を見出した。昨年度までのミューオピオイド受容体とG蛋白質活性型内向き整流性カリウム(GIRK)チャネルの遺伝子多型と鎮痛薬感受性との関連の発見に加え、今年度はアドレナリン受容体遺伝子に関して、β1、β2受容体遺伝子の多型が疼痛感受性と関連することを見出し特許出願した(特願2010-198319)。また、電位依存性カルシウムチャネルに関して、いくつかの遺伝子において多型が疼痛感受性や鎮痛薬感受性と関連することを見出し特許出願した(特願2010-270630)。さらに、GIRKチャネル遺伝子の多型判定による薬物感受性評価方法に関する特許が、米、英、仏、独の4カ国で成立し、ミューオピオイド受容体遺伝子多型判定による薬物感受性評価方法に関する特許が日本で成立した。これらの研究成果および知的財産が得られたことで、テーラーメイド疼痛治療を実現する上での重要な基盤が構築された。
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