2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390216
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00215047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 昌史 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60270857)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 血管石灰化 / 細胞分化 / 転写因子 / 骨芽細胞 / 糖尿病 / 腎不全 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
慢性腎臓病患者に高頻度に認められる血管石灰化の分子機序を解析した。慢性腎臓病患者では血清中AGEやS100/calgranulin,HMGB-1などのRAGEリガンドの濃度が高値である。これらのリガンドは血管内皮細胞や血管平滑筋綿胞、マクロファージ/単球上のRAGE(receptor for AGE)に結合することによって、細胞内に活性酸素腫(Reactive Oxygen Species ; ROS)を産生させ、MAPキナーゼやNFkB経路を活性化し、炎症性サイトカインや接着因子の発現を増強させる。本研究ではAGE/RAGEシグナルが血管平滑筋細胞の骨芽細胞分化に関与するかを検討した。慢性腎臓病患者の頚動脈の免疫組織学的に解析し、動脈硬化病変にはMsx2,Runx2,Osxなど骨形成に必須な転写制御因子とともにRAGEが高発現すること、および細胞分化に重要なNotchシグナル分子が発現することを見出した。さらに、RAGEをを発現するアデノウイルスを作製し、ヒト大動脈由来血管平滑筋細胞に強制的に発現させる実験の結果、血管平滑筋細胞は骨芽細胞様の細胞に分化した。一方、Notchシグナルの阻害薬(γセクレターゼ阻害剤)やMsx2のsRNAによってRAGEによる骨芽細胞へ分化はほぼ完全に消失した。したがって、RAGEはNotch?Msx2シグナルの活性化を介して血管平滑筋細胞を骨芽細胞化することがが明らかになった。 血管平滑筋細胞の骨芽細胞への分化に伴って、血管平滑筋細胞に特異的な遺伝子発現の抑制が見られることが報告されているがその分子機構は不明であった。本研究でRAGEの過剰発現が、分化調節因子SRF (Serum Response Factor)・myocardin複合体による血管平滑筋細胞特異的遺伝子の転写の活性化を抑制することを見出した。
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