2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390216
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00215047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 昌史 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60270857)
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Keywords | 骨芽細胞 / 血管石灰化 / 血管平滑筋細胞 / Notch / AGE / 慢性腎不全 / FGF23 / Klotho |
Research Abstract |
慢性腎臓病患者(CKD)は心血管イベントのハイリスク群である。CKDとCVDの関連には、古典的な因子によるものの他、血管石灰化の合併が多いことが上げられる。血管石灰化があると、大動脈のコンプライアンスの低下による心臓後負荷の増加や、冠動脈の〓漫性の狭窄、大動脈解離の頻度が増加する。長い間、血管石灰化は血管細胞の変性に伴って起こる受動的な過程と考えられていた。私たちは、血管平滑筋細胞の形質変換のメカニズムに関する研究の中で、細胞の分化調節を担うNotchシグナルが血管平滑筋細胞を骨芽細胞に変換することを見い出した。CKD患者では高AGE (advanced glycation end product)血症が認められることから、本研究では、AGE/GE (receptor for AGE)の相互作用による血管石灰化の誘導について解析した。培養血管平滑筋細胞にRAGEを過剰発現させると、石灰化が認められ、ALPの発現誘導が観察された。Real-time PCRにて骨芽細胞の分化調節因子であるMsx2、Notch1およびJagged1の発現増加が認められた。また、RAGEによるMsx2とALPの誘導は、γセクレターゼ阻害剤であるDAPTによって完全に抑制された。したがって、RAGEの活性化→Notchの活性化→Msx2の発現誘導→ALPの発現誘導→骨芽細胞へ分化というメカニズムが明らかになった。また、BMP2添加はNotchによる骨芽細胞への分化を顕著に促進した。そして、Msx2遺伝子プロモーターの解析によってBMP2シグナルとNotchシグナルは相乗的にMsx2プロモーターを活性化させることを明らかにした。この結果は、血管平滑筋細胞は、RAGE/Msx2遺伝子の発現誘導によって、骨芽細胞に分化することを示したものである。さらに、透析患者では、リン排泄因子FGF23の血清濃度が高く、FGF23の血清濃度と心エコーで評価した左室肥大の程度が相関することを明らかにした。血管平滑筋細胞にNotchを過剰発現させると、FGF23のmRNAの発現が増加することが増加することも見出した。
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Research Products
(5 results)