2009 Fiscal Year Annual Research Report
リアノジン受容体内シグナル伝達改善による新しい心不全・不整脈治療法の開発
Project/Area Number |
20390226
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
矢野 雅文 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 安宏 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00260349)
小林 茂樹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90397993)
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Keywords | 筋小胞体 / カルシウム / リアノジン受容体 / 心不全 / 致死的不整脈 / 点突然変異 |
Research Abstract |
申請者は、心不全や致死的不整脈の動物モデルを用いて、以下に記述するように、その発症機序に関する新しい知見を得た。 A. 頻脈誘発性犬心不全モデルの細胞内Ca動態: 1)不全心筋細胞では、Ca spark頻度は増加し、筋小胞体内のCa contentは減少していた。2)不全心筋SRではcontrol状態ですでに、RyR2の特定領域(N-termina1, central : N-C)ドメイン連関障害が生じていた。3)不全心筋では、RyR2の調節蛋白であるcalmodulin(C a M)のRyR2に対する結合親和性が低下していた。 B. CPVT型KIマウス(R2474S/+)の病理・形態、心機能評価ならびに催不整脈性: 1)KIマウスは安静時の心機能は正常であり、病理・形態的にも異常はなかった。しかし、epinephrine負荷またはトレッドミル運動負荷により容易に多源性心室頻拍(VT)を生じた。2)KIマウスの心筋細胞では、isoproterenol負荷にて、WTに比べ、単離心筋細胞内Ca spark頻度は増加し、筋小胞体内のCa contentは減少していた。3)Quencher(QSY-BSA)を用いた蛍光消退実験により、KIマウスのSRではcAMP添加時(PKAリン酸化)にN・Cドメイン連関障害が生じていた。一方、WTマウスのSRではN-Cドメイン連関障害は生じなかった。4)KIマウスにおいて、PKAリン酸化時に、CaMのRyR2に対する結合親和性が低下していた。 以上より、心不全とCPVTに共通するCaハンドリング異常のメカニズムとして、RyR2内ドメイン連関障害→CaM解離→Ca2+漏出が示唆された。
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