2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390261
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70291424)
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Keywords | マクロファージ / TRPチャネル / MKP-1 / 飽和脂肪酸 / トランスジェニックマウス / 肥満 / 脂肪組織 / 炎症 |
Research Abstract |
1)脂肪細胞の増殖・分化・肥大化の分子機構の解明: 昨年度に作製した脂肪細胞特異的MAPK phosphatase-1(MKP-1)トランスジェニックマウス(MKP-1Tg)の解析を行った。MKP-1Tgは、高脂肪食負荷により対照野生型マウスと同程度の体重増加を認めたが、インスリン抵抗性が有意に軽減した。主要なインスリン標的臓器におけるAktリン酸化を検討したところ、肝臓におけるインスリンシグナルの改善を認めた。MKP-1Tgの脂肪組織では、高脂肪食負荷によるMAPKリン酸化が抑制された。3T3-L1培養脂肪細胞にMKP-1を過剰発現することにより、TNFα誘導性脂肪分解が有意に抑制された。通常食飼育下では、genotype間に糖脂質代謝の差を認めなかった。以上より、脂肪細胞においてMKP-1は、過剰な中性脂肪の体内分布を制御することにより、全身の糖脂質代謝調節に働くことが示唆された。 2)マクロファージにおいて飽和脂肪酸により誘導される炎症性変化の分子機構の解明: 我々は既に、肥満の脂肪組織では肥大化した脂肪細胞より放出された飽和脂肪酸がマクロファージに発現するTLR4を活性化して炎症性サイトカイン産生を誘導することを証明し、これが脂肪組織リモデリングの基盤病態になることを明らかにした。一方、マクロファージにおいて、TLR4の活性化による炎症性サイトカイン産生に細胞内Ca濃度の上昇が必要であることが知られている。我々は、非選択的transient receptor potential(TRP)Vチャネル阻害剤がLPS誘導性炎症性サイトカイン産生を強力に抑制することを見出した。マクロファージに発現するTRPファミリーはTRPV2のみであり、TRPV2をノックダウンすることにより、LPS刺激による細胞内Ca濃度の上昇と炎症性サイトカイン産生が有意に抑制された。以上より、TLR4の新しい細胞内シグナル伝達経路が明らかとなり、炎症制御の標的となる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)