2009 Fiscal Year Annual Research Report
先端ゲノミクスによる造血器腫瘍の治療・診断標的分子の同定
Project/Area Number |
20390266
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 誠司 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任准教授 (60292900)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半下石 明 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (20344450)
熊野 恵城 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90396721)
山本 豪 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70396753)
|
Keywords | SNPアレイ / リシーケンス / MDS / ゲノム解析 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
平成21年度については、骨髄異形成症候群(MDS)および関連疾患のゲノム解析より同定した変異CBLについてそのMDS発症における分子メカニズムの検討を行うとともに、次年度に向けて全エクソンリシーケンスの予備的検討を行った。CBL欠失マウスの解析から、正常CBLは癌抑制遺伝子として機能する一方、変異CBLはNIH3T3細胞におけるアッセイにおいては発がん活性をしめすがん遺伝子として機能する分子あることがしめされ、変異CBLは正常CBLの有するE3ユビキチンリガーゼ活性が消失しており、また正常CBLのこの活性を強く抑制することにより、サイトカイン刺激後のチロシンキナーゼシグナル伝達系の過剰な活性化を誘導ことが明らかとなった。変異CBLは正常CBL非存在下において、造血前駆細胞のサイトカイン感受性を著しく亢進させることから、変異CBLの示す発がん活性はある種のgain-of-functionによると考えられた。リシーケンスの予備的検討においては、MDS由来の骨髄試料1検体について、当該患者の末梢血より単離したCD3陽性分画を正常対象とし、両検体よりゲノムDNAを抽出後、アジレント社のSureSelect^[○!R]システムを用いて液相ハイブリダイゼーションにより濃縮したwhole exome断片をGenome Analizerにて解析した。ヒトゲノム参照配列との不一致を示す塩基のうち、既知のSNPおよびCD3陽性細胞においても認められる置換を除いたアミノ酸置換を伴う変異が計203個同定された。これらの候補変異について確認シーケンスを行った結果、40倍深度以上のdepthで解析された変異については高い確率で検証された。以上より、全エクソンリシーケンスは、十分なリシーケンス深度が得られる限り、MDSの先天的および後天的な遺伝子変異の探索において有用な技術であることが確認された。
|
Research Products
(4 results)