2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胚性幹細胞から造血幹細胞移植治療のための造血幹細胞への分化誘導法の開発
Project/Area Number |
20390291
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50179991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 康博 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40302608)
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Keywords | 再生医療 / ヒトES細胞 / 多能性造血細胞 / ストローマ細胞 |
Research Abstract |
ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から分化誘導された多能性造血幹細胞の臨床応用のためには、異種動物由来血清やストローマ細胞に非依存的な分化誘導法の確立が必須と考えられる。そこで本年度は、昨年度の本研究で確立したヒトplatelet lysate (PL)を用いた方法で、ヒトES細胞から動物血清に非依存的に分化誘導されたストローマ細胞をヒトES細胞と共培養することによって、多能性造血細胞を分化誘導することを試みた。【方法】ヒトES細胞を、PLを5%vol含む培養液を用いて、ゼラチンコートプレートで培養することによりストローマ細胞を分化誘導した。そのヒトES細胞由来ストローマ細胞を放射線処理した後、種々のサイトカインを含む動物血清非依存的血液細胞誘導培地で、ヒトES細胞を共培養し、血液細胞への分化誘導を試みた。【結果】分化誘導後10-14日目にヒトES細胞コロニー中に敷石状細胞群が確認され、その後小型円形細胞の増殖が認められた。それらの細胞をヒト血清を含む培養条件でコロニーアッセイを施行すると、多能性造血細胞由来の混合コロニーを含む種々の血液細胞コロニーが形成された。これらの血液細胞コロニー中の赤血球系細胞の約80%は、αグロビン及びβグロビンが発現しており、これらの赤血球は成人型ヘモグロビンを合成していると考えられた。【結論】動物由来血清やストローマ細胞非存在下で、ヒトES細胞から分化誘導されたストローマ細胞との共培養により、ヒトES細胞から多能性造血細胞が分化誘導できた。我々が確立したヒトES細胞から血液細胞への動物血清・細胞非依存的分化誘導法は、ヒトES細胞由来血液細胞の臨床応用に有用と考えられた。
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