2009 Fiscal Year Annual Research Report
急性壊死性脳症と痙攣重積型急性脳症の病因・病理・病態
Project/Area Number |
20390293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水口 雅 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (20209753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 秀雄 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10250226)
伊藤 雅之 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (50243407)
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Keywords | 急性脳症 / 痙攣重積 / ADORA2a / SNP |
Research Abstract |
痙攣重積型急性脳症の患者32例についてアデノシンA2a受容体(ADORA2a)の遺伝子多型を解析した。32例の男女比は男19例、女13例で年齢は7ヶ月から6才1ヶ月に分布した。60%の症例は2才以下であった。先行感染としてはHHV6が最も多く次いでインフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルスが検出された。対照として60例の正常日本人B細胞由来DNAを用いた。 ADORAA2aの4箇所のSNP[rs5751876(1976T>C),rs2298383,rs35320474,rs4822492]について遺伝子型を直接シークエンス、RELPで解析した。4箇所のSNPから予想される16種のハプロタイプのうち、患者および正常対照は2つのハプロタイプ(T-C-(-)-CおよびC-T-T-G)のみを有し,完全連鎖を示した。個々のSNPのアレル頻度は患者でT、C、(-)、Cが対照群と比し有意に高かった(P=0.018)。患者群ではT-C-(-)-Cのホモ接合型頻度が32.4%、正常群では15.0%であった。C-T-T-Gホモ接合型は患者での頻度が14.7%で正常群では35%であった。T-C-(-)-CおよびC-T-T-Gのヘテロ接合型は患者群、正常群でそれぞれ47.1、50%であった。以上の3つの接合型の分布において患者、正常群間で有意差(P=0.045)が示された。従ってADORAA2aのSNPは痙攣重積型急性脳症発症の遺伝子的背景のひとつと思われる。rs5751876(1976T>C)は転写プロモーター位置にあり、rs35320474は3'-UTRに存在し、いずれも遺伝子発現量に関与することが示唆されている。アデノシン受容体はA2a受容体の他に3種類ある。それぞれが中枢神経系で部位特異的に発現し神経細胞の興奮を相互に調節しているため、A2a受容体発現量がSNPにより変化した場合、痙攣重積を助長する可能性が考えられる。現在、各遺伝子型によるADORA2a発現量の解析を計画している。
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Research Products
(12 results)