2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性壊死性脳症と痙攣重積型急性脳症の病因・病態・病理
Project/Area Number |
20390293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水口 雅 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20209753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 秀雄 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10250226)
伊藤 雅之 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (50243407)
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Keywords | 急性脳症 / 急性壊死性脳症 / 痙攣重積型急性脳症 / 遺伝子解析 / カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII / アデノシン受容体 / ナトリウムチャネル |
Research Abstract |
痙攣重積型急性脳症(AESD)約70例、急性壊死性脳症(ANE)約20例の末梢血由来DNA検体(一部はcDNAも)を対象として、候補遺伝子解析を行った。(1)CPT-II:近年、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII(CPT-II)遺伝子多型がインフルエンザ脳症の死亡例・重症例に関与すると報告された。われわれは本研究で、種々の先行感染症にともなう急性脳症症例におけるCPT-II遺伝子型を調べた。対象は、AESDまたはANEの29日本人症例である。CPT-II遺伝子エキソン4のF352C多型の頻度は、対照群より症例群で有意に高かった。F352CのCアレルを持つ患者は全例、V368IのIアレルとM647VのMアレルを有した。このCIMハプロタイプはCPT-II活性をFIMないしFVMハプロタイプの3分の1に落とす。CIMハプロタイプの頻度は、症例と対照の間で有意差があったが,AESDとANEの間では差がなかった。この結果はCIMアレルを少なくとも1つ有する事が、先行感染の種類に関わらず、急性脳症発症の危険因子であることを示した。(2)RANBP2:RANBP2は欧米の家族性再発性ANEの原因遺伝子である。われわれが日本人ANEの全症例(兄妹例、再発例を含め)を検索したところ、RANBP2遺伝子のエクソン10~14およびエクソン20に変異はなかった。(3)アデノシン受容体:昨年度~今年度のわれわれの研究により、アデノシン受容体2A(ADORA2A)遺伝子多型が、AESDの危険因子である可能性を強く疑わせる結果が集積された。平成23年度にかけて発現解析・機能解析を行うとともに、熱性けいれん患者における遺伝子頻度も調べる予定である。(4)SCN1A:急性脳症の90症例について各種のイオンチャネル遺伝子変異・多型を検討したところ、3例にSCN1A遺伝子変異を検出した。臨床病型は3例とも異なっていることから、本遺伝子変異が複数の病型の危険因子となりうることが示唆された。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] 急性脳症の治療2010
Author(s)
水口雅
Organizer
第113回日本小児科学会学術集会
Place of Presentation
盛岡市民文化ホール(岩手県)(招待講演)
Year and Date
2010-04-25
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