2009 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノム情報を基盤とした小児自閉症患者の病態把握と治療法の確立
Project/Area Number |
20390295
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久保田 健夫 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 賢三 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 特任教授 (80107218)
手塚 英夫 山梨大学, 総合分析実験センター, 准教授 (70155456)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 脳神経疾患 / 発現制御 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
【研究の目的】 我々は自閉症やてんかんを主徴とするレット症候群で異常がみられるMeCP2蛋白質によって脳内で調節を受けている脳分子(LIN7A等)を見いだした。本研究の目的は、この知見をもとに自閉症等の病態を解明しその治療につなげることである。 【本年度の研究実績】 1.MeCP2標的分子(LIN7A)の発現変化とレット症候群の神経病態 昨年度、MeCP2によって抑制をうけるLIN7Aは神経シナプス領域に局在することを明らかにした。本年度はLIN7Aが、(1)神経細胞(マウスNeuro2a)の分化誘導(レチノイン酸)による発現の上昇、(2)神経分化前のMeCP2欠乏の影響はうけ発現が低下するが、分化後にMeCP2が欠乏しても変化しないことを明らかにした。以上より、レット症候群の病態発症における神経分化早期のLIN7Aの発現異常の関与が示唆された。 2.LIN7Aの脳組織における経時的発現パターンの解明 マウスの脳組織における発現変化を調べた。その結果、(1)Lin7aは生後日齢とともに発現が上昇すること、(2)レット症候群モデル(Mecp2遺伝子欠損)マウスは全般に野生型よりLin7aの発現が低いことが判明した。以上より、LIN7の神経シナプス発達への関与が示唆された。 3.エピジェネティック作用を有する抗てんかん薬の患者血中モニタリング法の開発 昨年度本研究で、レット症候群のてんかん発作にも使用されている抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウム)に胎児脳の催奇形性があることを明らかにした。これを受けて、本学で開発中の探針型質量分析装置(PESI)を用いて、安価かつ迅速に、従来法と同等の精度で、患者の血中濃度が測定できることを明らかにした。これにより、妊婦や小児におけるエピジェネティック作用を有するバルプロ酸ナトリウム等のモニタリングに貢献し安全な投与に貢献すると思われた。
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Research Products
(6 results)