2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390302
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水谷 修紀 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60126175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 正稔 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (10406267)
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Keywords | ATM / TopoII阻害剤 / 染色体転座 / 造血幹細胞 / 白血病 |
Research Abstract |
胎生13.5日の妊娠マウスに終濃度10mg/kgのエトポシドを単回腹腔内投与し、30分、1時間、2.5時間、4.5時間、8.5時間後に妊娠マウスをと殺し、胎仔肝由来造血細胞、母体骨髄細胞を回収、固定し、細胞内染色によるγH2AX(H2AXのリン酸化フォーム)の蛍光強度の変化を、フローサイトメトリーで定量的に測定した。エトポシドはS期からG2/M期にかけてDNAの二重鎖切断を引き起こす。細胞周期分布の違いによる不公平差を排除するため、S/G2/M期におけるγH2AXの強度の平均値(MFI)のみを比較した。同時にS/G2/M期における細胞の集積率についても比較検討をおこなった。その結果胎児肝、母体骨髄ともにγH2AXの蛍光強度は、投与後30分〜1時間で最大となり、その後ゆるやかに減衰していくことが判明した。γH2AXのkineticsではそれほど大きな差が認められなかったが、S/G2/M期における最大集積増加率は、ともに4.5時間後で、胎児肝では20%(とくにG2/M期)、骨髄ではわずか4%であったことから、胎仔肝では細胞周期が急速に回転していること、またエトポシドに対する胎仔肝のDNA損傷応答としてG2/Mチェックポイントが非常に重要であることが示唆された。一方、毛細血管拡張性小脳運動失調症の原因遺伝子であるATMはPI3kinase-like domainを有するキナーゼであり、H2AXなどの基質のリン酸化を通じてDNA損傷修復および細胞周期チェックポイントに関わっている。G2/Mチェックポイントの破綻がゲノムの構造異常につながることはすでに知られており、このチェックポイントの発動にはATMが重要であることも知られている。そこで胎仔肝におけるATMの機能を明らかにするために、この in-vivo DNA損傷応答解析実験系を用いて、ATM野生型、ヘテロ欠損、ホモ欠損の胎仔肝造血細胞におけるDNA損傷応答の比較、それに伴う染色体の構造異常の比較したところ、野生型に比し、ヘテロや欠損マウスで有意に染色体構造異常が増加していた。さらに詳細を解析中である。
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Research Products
(4 results)