2009 Fiscal Year Annual Research Report
迷走神経刺激の抗うつ作用における視床束傍核―線条体経路の役割:ラットでの検討
Project/Area Number |
20390385
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
伊藤 眞一 Shimane University, 医学部, 准教授 (10145295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 孝二 帝京大学, 文学部, 教授 (70100930)
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Keywords | 迷走神経刺激 / 視床束傍核 / 破壊実験 / 強制水泳 / 恐怖条件付け / 抗うつ効果 / 抗不安効果 |
Research Abstract |
SDオスラットを用い、迷走神経刺激(VNS)の効果を、強制水泳および恐怖条件付け事態で生理食塩液(S ; 1ml/kg)、イミプラミン(IMP ; 20mg/kg)およびフルオキセチン(FLX ; 30mg/kg)皮下投与の効果と比較した。VNSは頚部迷走神経に電極を植え込み、0.1mA、2秒間の矩形波を5秒間隔で30分間与えた。VNSや薬物は4日連続で処置し、上記行動試験は第1、4日に、また4日目は45cm四方のオープンフィールド(OF)で運動量および行動軌跡も観察した。いずれの実験でも薬物毎に5ないし6匹、VNSは強制水泳で3匹、恐怖条件付けで2匹用いた。 強制水泳:各ラットを脱出不能、水温25℃の円筒水槽(内径20cm、水深35cm)に15分浸け、最後の5分における無動時間を記録した。S群と比べ、IMP処置群では無動時間の短縮がみられたが、FLX群ではむしろ増加した。VNS群では明らかな差はみられなかった。運動量およびOFでの行動軌跡に変化はみられなかった。 恐怖条件付け:各ラットを25(D)×31(W)×28(H)cmの矩形実験箱に入れ、0.8mA、2秒間の回避不能の電撃を床グリッドより平均30秒に1回、10分間与えた。ついで、強制水泳の場合と同様のVNSないし薬物処置を行い、4日目の処置1時間後に再度同実験箱内で電撃を与えず、運動量を計測した。その結果、電撃箱での無動(すくみ)時間はVNSの2匹で顕著に減少し、IMPおよびFLXでは時間経過に伴う減少は緩除であった。また、OFではVNS群のみがアリーナの中央で過ごす時間が多かった。 上記のとおり、VNSの効果を2種のうつ動物モデルを用い、抗うつ薬の効果と比較した。強制水泳ではIMPの効果は認められたが、その他の効果は明らかではなかった。恐怖条件付けでは、VNSで最もすくみ行動が減少し、さらに、OFではこの群でのみ抗不安薬類似の効果がみられた。
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