2010 Fiscal Year Annual Research Report
迷走神経刺激の抗うつ作用における視床束傍核-線条体経路の役割:ラットでの検討
Project/Area Number |
20390385
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
伊藤 眞一 島根大学, 医学部, 准教授 (10145295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 孝二 帝京大学, 文学部, 教授 (70100930)
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Keywords | 迷走神経刺激 / 視床束傍核 / カフ電極 / 強制水泳 / 恐怖条件付け / 抗うつ効果 / 逆行性標識 |
Research Abstract |
埋め込み電極の開発:従来のカフ電極では、装着が容易であれば装着後の脱失も起きやすく、脱失を避けるデザインにすれば装着も著しく困難になって神経をいためやすい、という難点があった。今回、シリコンチューブの本体に入れる切れ込みの形状を工夫することにより、装着時に神経に力をかけることが少なく、埋め込み後の動物の体動による脱失を防止できるカフ電極を開発した。 束傍核への迷走神経入力経路の検索:迷走神経誘発電位を微小電極により検索して、応答中心に蛍光色素を注入した。逆行性に標識された細胞は、主として同側の傍腕核で見出された。傍腕核では内側部に集注しており外側部にはほとんど見られなかった。迷走神経求心線維は孤束核に終止し、孤束核ニューロンは傍腕核に投射する。よって束傍核の迷走神経入力は傍腕核を介するものと結論した。なお、孤束核には標識細胞はほとんど見られず、孤束核からの直接の経路は否定された。 迷走神経刺激(VNS)の効果:VNSの効果を恐怖条件付け事態で生理食塩液、イミプラミンおよびフルオキセチン皮下投与の効果と比較した。VNSは頚部迷走神経に電極を植え込み、0.1mA、2秒間の矩形波を5秒間隔で30分間与えた。VNSや薬物は4日連続で処置し、上記行動試験は第1、4日に行った。各ラットを矩形実験箱に入れ、0.8mA、2秒間の回避不能の電撃を床グリッドより平均30秒に1回、10分間与えた。ついでVNSないし薬物処置を行い、4日目の処置1時間後に再度同実験箱内で電撃を与えず、運動量を計測した。その結果、電撃箱での無動時間はVNS群で顕著に減少し、イミプラミンおよびフルオキセチンでは時間経過に伴う減少は緩除であった。強制水泳以外でVNSの抗うつ効果が確認されたのは初めてのことである。
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Research Products
(1 results)