2010 Fiscal Year Annual Research Report
インビボ光イメージングを用いた癌骨転移の血管新生におけるTGFβシグナルの解析
Project/Area Number |
20390407
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
今村 健志 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70264421)
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Keywords | バイオテクノロジー / シグナル伝達 / 酵素 / 生体分子 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生きているマウスの中で、乳がん骨転移巣における血管新生とTGF-β/BMPシグナル伝達を同時に可視化し、それを定量する新しいテクノロジーを開発し、乳がん骨転移巣の血管新生におけるTGF-β/BMPシグナルの係わりを明らかにし、さらに骨血管新生阻害剤やTGF-β/BMPシグナル阻害剤の乳がん骨転移における効果をインビボで解析し、その分子メカニズムを明らかにし、新たながん骨転移治療法開発のための基礎的知見を得ることを試みることである。血管新生については、昨年度までに血管用近赤外蛍光プローブAngioSense750( VisEn社)を用いた血管新生の可視化と定量化および骨用近赤外蛍光プローブOsteoSense680(VisEn社)とAngioSense750を組み合わせることで骨内血管の微小血管をイメージングすることに成功した。本年度は、乳がん骨転移におけるTGF-βシグナルの係わりにおいて、TGF-βシグナルとエストロゲンシグナルのクロストークについての新しいメカニズムを発見した。具体的には、エストロゲンレセプターERαがTGF-βの細胞内シグナル伝達因子Smadに結合し、E3ユビキチンリガーゼSmurf1をリクルートすることでSmadの分解を促進し、TGF-βを抑制することを明らかにした。さらに乳がんにおいて、ERαの発現が低下するとSmadの発現が上昇し、TGF-βシグナルがオンになり、細胞の悪性化を促すことがわかった。これは、新たながん骨転移治療法開発のための有用な基礎的知見である。
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