2008 Fiscal Year Annual Research Report
舌下免疫ー粘膜ワクチンの新たな投与経路としての有用性に関する研究
Project/Area Number |
20390443
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
黒野 祐一 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80153427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松根 彰志 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (00253899)
田中 紀充 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90404483)
吉福 孝介 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70381168)
大堀 純一郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90507162)
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Keywords | 舌下免疫 / 経鼻免疫 / 粘膜ワクチン / ホスホリルコリン / 粘膜免疫 / 口蓋扁桃 / 抗体産生細胞 / IgA腎症 |
Research Abstract |
1)PC舌下投与による粘膜免疫応答の誘導 舌下免疫の誘導機序を明らかにすることを目的として、ホスホリルコリン(PC)を抗原(ワクチン)としてマウスに舌下および経鼻投与し、その粘膜免疫応答を比較した。 その結果、PC-KLHをコレラトキシンとともにマウスに舌下投与すると、唾液鼻汁などの粘膜面そして血清中にもPC特異的免疫応答が誘導された。そして、その免疫応答はこの抗原を経鼻投与したマウスと同レベルであった。さらに興味深いことに、膣洗浄液中のIgA応答は舌下免疫のほうが経鼻免疫よりも高値であった。このことは、舌下免疫と経鼻免疫の粘膜応答機序が異なることを示唆している。 2)ヒトロ蓋扁桃リンパ球のPC特異的免疫応答 ヒト上気道の粘膜免疫応答において果たしてPCが抗原性を有するか、そしてPC特異的免疫応答が生体防御に有効か否かを検証するために、口蓋扁桃リンパ球のPC特異的抗体産生能についてELISPOPT法を用いて検討した。その結果、口蓋扁桃にはPC特異的抗体産生細胞が認められ、IgMとIgG産生細胞数は慢性扁桃炎および扁桃周囲膿瘍がIgA腎症より高値であった。一方、IgA産生細胞数はIgA腎症でむしろ高値であり、口蓋扁桃におけるPC特異的IgA応答がIgA腎症の病態に関与することが推測された。 3)肺炎球菌におけるPC発現と病原性 肺炎球菌を液体培地で培養し、培養時間とPC発現量を比較した。その結果、Log相においてPCの発現量が増加し、さらにLog相で細菌の上皮細胞への定着も亢進した。すなわち、PC発現と肺炎球菌の病原性が相関すると考えられた。
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