2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390500
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90202952)
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Keywords | 骨置換材 / 炭酸アパタイト / 骨リモデリング / 水熱反応 / 炭酸アパタイトフォーム / 多孔体 |
Research Abstract |
超高齢社会への対応やデンタルインプラントの適応症例拡大に対する社会的要求から、骨造成術式の向上が急務とされている。骨造成術式においては自家骨移植が第一選択であるが、自家骨採取に伴う健全部位への侵襲、採取可能骨量の制限、自家骨形態の制限等の問題があり1、自家骨と同様に機能する人工骨補填材の創製が強く望まれている。 そこで、本研究においては前駆体を用いた溶解-析出型の組成変換反応による炭酸アパタイトの調製法を基盤研究として、海綿骨形態の炭酸アパタイトの創製法を確立し、その有用性を細胞および実験動物を用いて実証することを目的とした。 本年度は主に骨自体を前駆体として用いる炭酸アパタイト多孔体の炭酸アパタイト変換条件の最適化を行った。 鶏の頸骨を1500℃熱分解した前駆体を4モル濃度および6モル濃度の炭酸アンモニウム、150℃、200℃、250℃、24時間、3日、7日、14日、30日の条件で水熱処理を行った。その結果、150℃あるいは200℃で水熱処理を行った場合には30日処理を行ってもαリン酸三カルシウムが残存し、二相性となっていることがわかった。一方、250℃で水熱処理を行った場合にはαリン酸三カルシウムが徐々に相変換され炭酸アパタイトになることがわかった。粉末X線回折分析の結果、アパタイト単相とはなったが、水酸アパタイトと炭酸アパタイトの両者が存在している可能性は否定できない。 本研究の遂行によって骨形態を保持したまま、炭酸アパタイトを含む組成に変更できることがわかった。前駆体である骨を高温焼成していることから免疫反応の惹起は考えられず新しい骨補填材の創製につながる可能性が確認できた。
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